プレスリリース
四国山地におけるツキノワグマ生息調査の結果について ~「はしっこプロジェクト2022」~
剣山山系及びその周辺地域のみに生息する四国のツキノワグマは、2017(平成29)年時点で16頭から24頭と推定されており(鵜野ら 2019)、環境省レッドリスト2020では「絶滅のおそれのある地域個体群」とされています。
四国森林管理局、中国四国地方環境事務所及び(認特)四国自然史科学研究センターでは、ツキノワグマの生息状況を把握するための調査「はしっこプロジェクト」を、2014(平成26)年度から連携して実施しています(中国四国地方環境事務所は2015(平成27)年度から参画)。
令和4年度の調査結果は下記のとおりでしたので、お知らせします。
記
1 調査概要
調査期間:2022(令和4)年4月から12月まで
調査方法:無人撮影装置(センサーカメラ)による調査
39箇所98地点に無人撮影装置を設置
四国森林管理局:7箇所21地点
中国四国地方環境事務所:12箇所24地点
四国自然史科学研究センター:19箇所49地点
ニッポン高度紙工業:1箇所4地点
2 調査結果(別添1参照(PDF : 237KB))
令和4年度に「はしっこプロジェクト」でセンサーカメラを設置した39箇所のうち、18箇所(徳島県13箇所、高知県5箇所)においてツキノワグマが確認されました。
そのうち、今年生まれと考えられる幼獣1頭が確認されています。個体数が少なく、絶滅の危険性が高い個体群では、繁殖が安定して行われているかは重要な情報となります。今年度の結果から、令和元・2・3年度に引き続き、順調に繁殖が行われていることが確認されました。
また、生息が確認された18箇所のうち、13箇所は「はしっこプロジェクト」の当初(2014(平成26)年)から生息域として確認されている地域で、残る5箇所は2017(平成29)年以降に生息域の辺縁で確認された地域です。
近年、これまで確認されていなかった地域で、ツキノワグマが確認される事例が出てきていますが、撮影頻度は低く、識別頭数の多くは分布中心地域で確認されているため、依然として四国のツキノワグマは、剣山山系及びその周辺の限定的な地域が主な分布域と推察されます。
今後とも、四国のツキノワグマの生息状況を適切に把握するために、今年度新たに生息が確認された地域を含め、各機関の連携により引き続き生息状況を調査し、恒常的な分布域であるか確認する必要があります。
3 今後の予定
今回の調査結果を踏まえて、令和5年度も調査を継続することとしています。
調査箇所写真(調査箇所写真(PDF : 1,371KB))
お問合せ先
四国森林管理局
計画課 柴田、冨田
TEL:088-821-2100
中国四国地方環境事務所
四国事務所 武市、金丸、福田
TEL:087-811-6227
四国自然史科学研究センター
山田、安藤
TEL:0889-40-0840