合法伐採木材等に関する情報:南アフリカ
目次 1.木材等の生産及び流通の状況 2.合法伐採木材に関連する法令等及びその運用 ・法令(伐採許可関連) ・関係行政機関一覧 3.その他木材等の適正な流通の確保に関する情報 (1)民間の森林認証スキーム (2)その他合法伐採関連の情報 4.合法性の確認に活用できる書類の事例 5.関連する報告書 |
注 国別情報については、平成30年度調査の成果等を、参考情報として掲載しています。
注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら
1.木材等の生産及び流通の状況
国土面積122.3百万haのうち44.9百万haが自然植生の被覆地で、ほとんどがサバンナ樹林地であり、森林面積は2.1百万ha(森林率約5%)です。森林としては、国土面積の1%程度の人工林が主体で、主にLimpopo、Mpumalanga、KwaZulu-Natal、Eastern Cape 州など東部に分布します。天然林は、東部から南部に位置する山地沿いに分布します。人工林については、83%が民有、17%が公有です。民有林については、大規模企業3社を中心に企業所有が半数を超えますが、その他、個人事業者、個人所有者もいます。植栽樹種のほとんどが外来種です。
南アフリカ共和国の情報によれば、年間約17百万m3程度の丸太を生産しており、約02月03日がパルプ用で、その次に製材用です。一方、FAO公表情報によれば、丸太生産が年間約27百万m3程度と南アフリカ共和国内情報より多くなっています。次いで、工業用原木、木質燃料の生産量が多く、チップは輸出に特化しています。パルプ材と輸出用チップの合計が、国内情報によるパルプ用材とほぼ同量となっています。木材加工品については自国生産で不足する分を輸入して自国消費し、余剰分を輸出している構造と言えます。
木材輸出入においては、紙及びパルプが主要な製品となっています。日本の南アフリカ共和国からの輸入木材はほとんどがチップです。チップ輸出は、2社で行われており、チップ工場までの流通は、人工林から原木が陸路でチップ工場へ入り、工場で生産されたチップが隣接する港湾へ搬入されています。
2.合法伐採木材に関連する法令等及びその運用
南アフリカ共和国では、天然林の伐採、転換は事実上、不可となっています。インフラ整備等の公共福祉を事由とした開発のみ特別許可される場合がありますが、伐採された木材は市場販売ではなく地域利用に供され、代替地として同面積の植栽を実施することとされています。また、移植して伐採を避ける場合もあります。商業伐採は主に外来早生樹種の人工林で行われています。
伐採木材に関する合法性証明制度は特別に設定されていません。伐採に関するコンセッション・ライセンス制度、森林管理・伐採に関する計画制度、政府へ支払うべきロイヤリティ・手数料の納入制度などもありません。
47種の指定樹種と天然林を構成する樹木はすべて保護対象となります。また、保全地域法に基づき保全地域が指定されています。こうした天然林と保護樹種についての伐採には許可が必要ですが、商業林業を営む人工林については伐採許可制度はありません。
土地所有・管理権に関連して、国家水法では商業用の植林は「流量を減少させる活動」と位置づけられ「水使用許可」の取得が義務付けられています。水使用許可は水・衛生省の州事務所に申請します。活動や対象地によっては環境許可(環境影響評価)、農業資源保全や遺跡資源保全等の規制対象となる場合があります。申請にあたって、州の環境・農業・遺跡資源庁の承認書類を添付することが求められています。そのため、水使用許可が、土地所有・管理権を中心とした合法性確認に活用できる書類とも言えます。
水使用許可の有効期限は40年で、5年毎に監査を受ける必要があります。水使用許可申請にあたっては、環境省のガイドラインに準じて湿地・河畔域境界設定を行い、植栽は20~32m程度湿地・河畔域から離す必要があります。
また、2014年制定の「外来・侵入種規制」により、外来樹種の植林地について、リスクアセスメントを行い許可申請する必要があります。なお、2014年までに造成されたユーカリ、マツ、アカシアの外来植林樹種の植林地について、上記の水使用許可を得ている箇所は、外来・侵入種規制の対象外となっています 。
輸出者は、輸出登録を受ける必要があり、輸出登録番号を税関申告書で確認できます。チップは、輸出許可の対象となっていません。税関による積荷検査はありませんが、業界の運用により、積荷の質・量を確認できる書類を支払い申請書に添付することになっています。
法令
伐採許可関連
- 1998年国家森林法(National Forests Act No. 84, 1998)
- 1998年国家水法(National Water Act No. 36, 1998)
- 1994年土地権利に関する損害賠償法(Restitution of Land Rights Act No.22, 1994)
- 1998年国家環境管理法(National Environment Management Act No. 107, 1998)
- 2004年国家環境管理: 生物多様性法(National Environmental Management: Biodiversity Act No. 10, 2004)
- 2014年外来・侵入種規制(Alien and Invasive Species Regulations, 2014)
- 1983年農業資源保全法(Conservation of Agricultural Resources Act No.43, 1983)
- 1999年国家遺跡資源法(National Heritage Resources Act No. 25, 1999)
- 1991年付加価値税法(Value-Added Tax Act No.89, 1991)
- 1962年所得税法(Income Tax Act No. 58, 1962)
- 2003年国家環境管理: 保全地域法(National Environmental Management: Protected Areas Act No. 57, 2003)
- 1993年職業衛生安全法(Occupational Health and Safety Act No.85, 1993)
- 1997年雇用基本条件法(Basic Conditions of Employment Act No. 75, 1997)
- 1998年雇用均等法(Employment Equity Act No. 55, 1998)
- 1995年労働関係法(Labour Relations Act No. 66, 1995)
- 2011年税手続法(Tax Administration Act No. 28, 2011)
- 1964年税関・物品税法(Customs and Excise Act No. 91, 1964)
- 2010年CITES規制(CITES Regulations 2010)
関係行政機関一覧
行政機関 | 英語表記(略称) | 主要な業務 |
農業開発・ 土地改革省 |
Department of Rural Development and Land Reform (DRDLR) | 土地所有権に関する土地改革プログラム |
農林水産省 | Department of Agriculture, Forestry and Fisheries (DAFF) | 天然林・在来種の伐倒・オークション許可 外来種・草地の耕作の管理 |
水・衛生省 | Department of Water and Sanitation(DWS) | 水使用者許可(登録) |
環境省 | Department of Environmental Affairs (DEA) | 環境影響評価 CITES輸出許可 |
遺跡資源庁 | Heritage Resource Agency (HRA) | 国家遺跡保全 |
歳入局 | The South African Revenue Service (SARS) | 輸出入業者の登録 |
貿易産業省 | Department of Trade and Industry (DTI) | 輸出入許可 |
3.その他木材等の適正な流通の確保に関する情報
Forest Stewardship Council (FSC)による森林管理(FM)認証が20件(面積1,388,954ha)、Chain of Custody (CoC)認証が116件となっています。また、南アフリカ林業保証スキーム(SAFAS)と呼ばれる認証システムがあり、PEFCとの相互承認に向けて手続きを開始しています。
業界団体が中心となって、チップなどでは、森林認証を取得した森林由来の木材を使用するなど責任のある原材料の確保、バーコード付きの輸送状と仕向け地向けに丸太に着色をすることなどによるトレーサビリティの強化に努めています。
4.合法性の確認に活用できる書類の事例
水使用許可証(PDF:LICENCE IN TERMS OF CHARPTER 4 OF NATIONAL WATER ACT 1998 (ACT NO. 36 OF 1998)(PDF : 1.7MB) | |
発行対象 | 植林(2015年) |
発行者 | 水・衛生省 |
概要 | 40年間の許可 |
(出典:平成30年度「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国における現地情報の収集(欧州地域等)により収集)