合法伐採木材等に関する情報:マレーシア(半島部)
目次 1.木材等の生産及び流通の状況 (1)森林と木材生産 (2)輸入 (3)輸出 2.合法伐採木材に関連する法令等及びその運用 ・商業的な木材生産のためのライセンス ・マレーシア木材合法性保証システム(MyTLAS) ・法令 3.その他木材等の適正な流通の確保に関する情報 ・民間の森林認証スキーム ・リスク情報 4.合法性の確認に活用できる書類の事例 5.関連する報告書 |
注 国別情報については、平成29年度、令和3年度等を、参考情報として掲載しています。
注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら
1.木材等の生産及び流通の状況
半島マレーシアの面積は1,322万ha、2020年の森林被覆面積は569万ha で、森林被覆率は43%でした。半島マレーシアは11州と2つの連邦直轄領から構成されますが、クランタン州、パハン州、ペラ州及びトレガンヌ州の4州で半島全体の森林面積の79%を占めます。
半島マレーシアの森林の大部分は永久林(Permanent Reserved Forest: PRF、481万ha)として各州の林業局によって管理され、その中の生産林(Production Forest、297万ha)が主な木材供給源となっています。また州有地(State Land)、譲渡地(Alienated land)の一部にも森林が存在し、木材生産が行われています。またゴムの廃材も家具等の原料として供給されています。
2020年の半島マレーシアの天然木丸太生産量は新型コロナの影響もあり、220万m3でした。森林面積の広いクランタン州、パハン州、ペラ州、トレガンヌ州の4州で半島全体の木材生産量の92%が生産されました。土地カテゴリー別にみると、2019年の総生産量は391万m3でしたが、85%は永久林から生産され、州有地から7%、譲渡地から8%生産されました。
半島マレーシアで生産される主な木材製品は製材品(2020年生産量178万m3)、次いで合板(2020年生産量29万m3)、モールディング(同16万m3)です。
半島マレーシアの主な輸入木材・木材製品は合板(2020年輸入量82万m3)と製材品(同38万m3)です。合板の主な輸入先はインドネシア、ベトナム及び中国で、2019年の製材品の主な輸入先は米国、ニュージーランド及びブラジルでした。
半島マレーシアの主な輸出木材・木材製品は製材品(2020年輸出量99万m3)、パーティクルボード(同32万m3)、合板(同31万m3)、繊維板(同30万m3)です。2019年の輸出量統計では製材品はタイ、中国及びインド、合板は米国及び英国、繊維板はオーストラリア及び米国が主な輸出先でした。一方パーティクルボードは、日本が最大の輸出先でした。
2.合法伐採木材に関連する法令等及びその運用
半島マレーシアにおいて、永久林(PRF)又は州有地(State land)における商業的な木材生産には森林産物採取ライセンス(Licence to take Forest Product)が必要です。一方、譲渡地(Alienated land)の森林からの木材生産には伐採許可は必要とせず、移動ライセンス(Removal Licence)の取得が必要です。
半島マレーシアではマレーシア木材合法性保証システム(Malaysian Timber Legality Assurance System: MyTLAS)が2013年に導入され、主に各州の林業局(State Forestry Departments: SFD)で構成される半島マレーシア林業局(Forestry Department Peninsular Malaysia: FDPM)とマレーシア木材産業局(Malaysian Timber Industry Board: MTIB)によって実施されています。MyTALSの関連実施機関はMyTALS実施機関調整委員会(IACC)を構成し、活動の調整、監視、報告の検討、違反行為に対する是正措置やその他必要な措置の提案が行われています。
MyTLASは以下の木材・木材製品を対象とし、国内の永久林、州有地、譲渡地で生産された天然木、植林木、ゴム廃材、及び輸入された木材・木材製品が対象となります。
- HS4401木質ペレット
- HS4403丸太
- HS4406枕木
- HS4407製材品
- HS4408単板
- HS4409モールディング
- HS4410パーティクルボード
- HS4411繊維板
- HS4412合板
- HS4414木製枠
- HS4418建具
- HS9403月30日/40/50/60/90木質家具
MyTLASは現在、伐採権、林内作業、徴税、他者の権利、工場の操業、貿易と関税の6原則24基準で構成されています。従来、サラワク材についてはEU向け荷口へのサラワク州産材またはその製品の混入を防止するための基準が設定されていましたが、現在は撤廃されています。
表 MyTLASの基準・標準と主な証拠書類及び関係法令等
基準 | 合法性を証明するための主な証拠書類 【管轄省庁】 |
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原則1 伐採権 |
C1.州当局による伐採区域の承認 |
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C2.伐採ライセンスの発行 |
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C3.小規模ゴム造林地からの丸太及び林地廃材の移動に係る所有者の同意の取得 |
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C4.環境影響調査 (ゴム農園以外) C5.環境影響調査 (ゴム農園) |
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C6.計画策定及び森林区分登録 |
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原則2 林内作業 |
C7.伐採区域境界確定 |
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C8.立木資源調査 |
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C9.伐採事前影響評価 |
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C10.立木へのタグ及び環印の表示 |
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C11.木材生産管理 (1)産業用造林以外 |
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(2)産業用造林 |
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C12.丸太輸送 |
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C13.労働安全衛生 |
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原則3 徴税 |
C14.ロイヤリティ及び手数料 |
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原則4 他者の権利 |
C15.先住民(オランアスリ)の権利 |
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C16.コミュニティの利益 |
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原則5 工場の操業 |
C17.工場ライセンスの発行及び操業条件 C18.二次加工工場の工場ライセンスの発行および操業条件 |
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C19.移動式製材又はチッパーのライセンス発行 |
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C20.労働安全衛生 |
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原則6 貿易・関税 |
C21.輸出のための企業登録 |
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C22.輸出規制 |
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C23.輸入規制 |
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C24.輸入丸太の輸送 |
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(出典)「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業報告書(平成30年3月報告)を加筆修正
2013年のMyTLAS導入以来、EU向け木材・木材製品についてはMyTLAS証書(Certificate)を取得することが義務化されています。他の国への輸出に関しては輸出ライセンスのみが発行されていました。しかし、2022年1月1日からEU以外の国への輸出についても請求があればMyTLAS証書を発行することが可能となりました。この結果、日本の事業者も半島マレーシアからの木材・木材製品の輸入の際にこれを請求し、合法性確認に利用することができます。
法令
- 国家森林法(1984年)
- 州森林規定
- 森林マニュアル(2003年)
- 州森林法
- 国土法(1965年)
- 環境品質法(2001年)
- 労働安全衛生法(2006年)
- 労働者補償法(1952年)
- 労働者社会保障法(2006年)
- 先住民族法(2006年)
- 木材産業法(1985年)
- マレーシア木材産業局設置法(1973年)
- 木材産業登録規則(1991年)
- 木材税令(2008年)
- 関税法(2008年)
- 植物検疫法(1976年)
(出典)「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業報告書(平成30年3月報告)
3.その他木材等の適正な流通の確保に関する情報
半島マレーシアには、7か所のPEFC/MTCS認証林合計405万haと2か所のFSC認証林13万haが存在します。特に、半島部11州のうち、7州の永久林の大部分が森林管理区(Forest Management Unit: FMU)としてPEFC/MTCS認証を取得しています。一方、主な木材生産州のうちクランタン州のFMUは2016年に認証が停止され、現在でも回復できていません。
半島マレーシア各州の林業局は、違法伐採の取り締まり、摘発を行っています。
一方、伐採のためのライセンスが不正に授与されているなどのリスクが指摘されているほか、事業者に伐採権が与えられている森林において地域住民が慣習権を主張し、紛争や訴訟になっているケースも存在します。
4.合法性の確認に活用できる書類の事例
名称 | MyTLAS認証(PDF : 874KB) |
発行者 | マレーシア木材産業局 |
内容 |
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