合法伐採木材等に関する情報:マレーシア(サバ州)
(2022年4月1日全面更新)
目次 1.木材等の生産及び流通の状況 (1)森林と木材生産 (2)輸入 (3)輸出 2.合法伐採木材に関連する法令等及びその運用 ・商業的な木材生産のためのライセンス ・サバ木材合法性保証システム(Sabah TLAS) ・天然木丸太輸出 ・法令 3.その他木材等の適正な流通の確保に関する情報 (1)民間の森林認証スキーム (2)リスク情報 4.合法性の確認に活用できる書類の事例 5.関連する報告書 |
注 国別情報については、平成29年度、令和3年度に実施した調査の成果等を、参考情報として掲載しています。
注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら
1.木材等の生産及び流通の状況
サバ州の面積は736万ha、2010年時点の森林面積は464万ha で、州面積の63%にあたります。州内の森林植生は、森林保全区(Forest Reserve)、保護地域(Protected Area)、その他の州有地(State Land)及び譲渡地(Alienated land)の4つの土地カテゴリーに存在しますが、森林保全区内の商業林(Commercial Forest)が主な木材供給源となっています。
新型コロナの影響もあり、州内の天然木丸太生産量は減少が続いています。2020年の丸太生産量は68万m³で、森林保全区からの生産量はその78%、州有地からの生産量は1%、その他・譲渡地(Alienated Land)からの生産量は21%を占めました。2019年以降、森林保全区の天然林からの丸太は、低インパクト伐採と育林作業を伴う択伐施業によってのみ生産されています。
州内で生産される主な木材製品は、合板(2020年生産量28万m3)、次いで製材品(16万m3)ですが、その生産量も新型コロナの影響で大きく減少しています。
2020年のサバ州の主な木材・木材製品輸入量は、単板と合板がそれぞれ2万m3、製材品が1万m3でした。丸太の輸入はありませんでした。
2020年のサバ州の主な木材・木材製品輸出量は、合板が28万m3(生産量のほぼすべて)、製材品が7万m3(生産量の約半分)でした。輸出量についても2016年~2020年の間に大きく減少しています。
2016年~2020年の木材製品の輸出金額を見ると、日本が一貫して最大の輸出先ですが、その金額は減少が続いています。天然木丸太について2016年~2017年には第一位(年間11-8万m3)の輸出先でしたが、2018年中途から輸出が禁止されました。製材品については、中国(2020年輸出量2万m3)及び台湾(同2万m3)が主な輸出先でした。また植林木丸太は2016年~2019年の間、主にインドネシア、ベトナムに輸出されていましたが、最大の生産者であったSabah Forest Industries社の事業停止、新型コロナの影響などもあって減少し、2020年にはサラワク州にのみ3万m3が輸出されました。
2.合法伐採木材に関連する法令等及びその運用
サバ州における商業的な木材生産のためのライセンスは、持続可能森林管理ライセンス協定(Sustainable Forest Management License Agreement: SFMLA)、Form I ライセンス、Form IIBライセンスの3種類です。持続可能森林管理ライセンス協定(SFMLA)は99年間の長期ライセンスであり、森林保全区内にのみ発行されます。Form I ライセンスは1~5年の短期の伐採ライセンスで、現在は州有地など政府関連機関が管理する土地のみで許可されます。一方、Form IIBライセンスは私有地に対して発行されるもので、森林をアブラヤシやゴム、その他の短期収穫作物のための農地転換の際に使用されます。
サバ州ではサバ木材合法性保証システム(Sabah Timber Legality Assurance System: Sabah TLAS)が確立され、主にサバ林業局(Sabah Forestry Department)によって実施されています。現在は6原則21基準にまとめられています。
図 Sabah TLASの基準間の関連と手続きの流れ

(出典)「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業報告書(平成30年3月報告)
表Sabah TLASの構成
原則 | 基準 |
原則1伐採権 | C1.1伐採区域の承認 |
C1.2環境インパクトアセスメント | |
C1.3森林管理計画 | |
C1.4年間作業計画 | |
C1.5総合伐採計画(CHP) | |
C1.6プランテーション開発計画 | |
C1.7伐採区域の境界画定 | |
C1.8立木調査 | |
原則2林内作業 | C2.1伐採施業 |
C2.2丸太輸送 | |
C2.3労働安全衛生 | |
原則3徴税 | C3.1ロイヤリティ及び手数料 |
原則4他者の利用 | C4.1コミュニティの利益と占有・利用権 |
C4.2先住民利用権 | |
原則5木材加工工場の操業 | C5.1工場ライセンスの発行、更新及び書替並びに操業条件 |
C5.2木材の出入荷 | |
C5.3労働安全衛生 | |
原則6貿易と税関 | C6.1輸出規制 |
C6.2輸入規制 | |
C6.3輸入した丸太、製材品及び単板の輸送 | |
C6.4サラワク州産木材の取扱い |
Sabah TLASのシステム自体も第三者監査を受けていますが、個々の事業者(持続可能森林管理ライセンス協定(SFMLA)事業者、木材加工事業者、輸出事業者)もその遵守状況について第三者監査を受けています。Form I、Form IIBライセンス事業者はこの第三者監査を受けることが義務化されていませんが、Form I、Form IIBライセンス事業者から丸太を調達する木材加工事業者は、その合法性確認をSabah TLASに基づいて適切に行ったかも、第三者監査の対象になっています。またForm IIB ライセンスによって生産された天然木丸太は輸出が許可されていません。
Sabah TLASによる輸出木材の合法性証明は、税関への輸出申告書(K2フォーム)の裏面に州森林局のスタンプを押印し、担当職員が署名することにより行われ、同システムの全ての基準を満たしていることを証明するものとなります。
サバ州では2018年の州議会選挙の結果、政権交代がおき、天然木丸太の輸出が禁止されました。しかし2020年の州議会選挙の結果、再び政権交代がおき、2022年から再度天然木丸太の輸出が許可されています。輸出のためには通常の輸出許可の他に、林業局への天然木丸太輸出用の貨物船登録と丸太出荷許可証(Log Shipment Clearance)の取得が必要です。
法令
- 森林法(1968年)
- 森林法(2014年)
- 土地令
- 森林規則(1969年)
- 環境保護法(2002年)
- 環境保護令(2012年)
- 環境保護規則(2005年)
- 測量会社規則(1962年)
- 測量会社令
- 野生生物保護法(1997年)
- 野生生物保護規則(1998年)
- 労働法
- 労働者補償法(1952年)
- ロイヤリティ査定用木材計量規則(2006年)
- 労働令
- 労働者負担金法(1952年)
- 関税法(1976年)
- 植物検疫法(1976年)
- 2021年12月21日付け主席森林保全官通達
3.その他木材等の適正な流通の確保に関する情報
サバ州林業局は、森林管理者による森林管理認証取得を推進しており、2025年までに州内の全ての森林が認証を受けるという目標を有しています。現在、州内にはFSC認証林3か所5万ha、MTCS/PEFC認証林3か所15万の認証林が存在します。サバ林業局は従来、直接管理している多くの森林管理ユニットでFSC認証を取得していました(H28年度報告書では9か所59万ha)が、2022年現在、これらの認証は一時停止されており、認証の再取得のため林業局とFSCの話し合いが続いています。
サバ州政府は違法伐採の取締まりを行っており、ライセンス条件違反の伐採などの事業者の摘発が行われています。一方、政府から事業者に伐採ライセンスが与えられた商業林や州有地の中に地域コミュニティが存在し、土地の権利をめぐる紛争が生じているケースもあります。
4.合法性の確認に活用できる書類の事例
名称 | 輸出ライセンス(PDF : 177KB) |
発行者 | サバ林業局 |
内容 |
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名称 | 輸出ライセンスの控え(PDF : 698KB) |
発行者 | サバ林業局 |
内容 |
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名称 | 丸太出荷許可証(Log Shipment Clearance)(PDF : 832KB) |
発行者 | サバ林業局 |
内容 |
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名称 | サバ州木材合法性システム(Sabah TLAS)認証(PDF : 632KB) |
発行者 | サバ林業局 |
内容 |
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