合法伐採木材等に関する情報:エクアドル
目次 1.木材等の生産及び流通の状況 2.合法伐採木材に関連する法令等及びその運用(法令・関連行政機関一覧) 3.その他木材等の適正な流通の確保に関する情報(民間の森林認証スキーム) 4.合法性の確認に活用できる書類の事例 5.関連する報告書 |
注 国別情報については、平成30年度調査の成果等を参考情報として掲載しています。
注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら
1.木材等の生産及び流通の状況
エクアドルは283,560km2の国土面積を有し、世界で最も多様性に富んだ国の一つとなっています。エクアドルの天然林面積は、約1,250万haであり、その78%(約980万ha)がアマゾン地域に分布しています。また、植林地面積は約14万5千haであり、ユーカリ類、マツ類、チーク、バルサ、メリナが主要な商業用樹種として植林されています。
マツ類とユーカリ類の植林地は、木材パネル産業の主要な木材供給源であり、ユーカリは、木材チップ生産にも利用されています。バルサ材、チーク材、木材チップは、ほぼすべてが輸出用に生産されています。また、合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)など木材パネル産業も製品のかなりの部分を輸出しています。天然林から120種以上の樹種が木材に利用されていると推定されますが、その伐採量の大半は自国のマーケットで取り引きされています。
エクアドル産木材製品の最大の輸出先は米国、次いでコロンビア、中国、インド、ペルーとなっています。米国には、主に合板、家具、ドア、バルサ材が輸出されています。バルサ材の輸出先は多様化しており、主な輸出国として、米国の他に、中国、リトアニア、ポーランド、デンマーク、ドイツが挙げられます。また、エクアドルは、中南米の木材供給で重要な位置を占め、コロンビア、パナマ、ペルー、チリといった諸国にパーティクルボード、合板、MDF、家具を輸出しています。エクアドルのチーク材の90%以上は、インドに輸出されていますが、近年は中国とバングラデシュへの輸出も伸びてきています。日本は、エクアドルにとって第6位の輸出先国であり、2011年以降、エクアドルで生産された木材チップはすべて日本に輸出されています。木材チップの輸出量は2015年に減少しましたが、全体的に増加傾向にあり、2011年から2016年までの期間に161%成長しました。
なお、エクアドルは木材製品の輸入も行っており、特に木材パルプと紙の輸入によって木材製品の貿易収支はマイナスとなっています。
2.合法伐採木材に関連する法令等及びその運用
エクアドルでは、環境省(MAE)が天然林を所管し、農業畜産水産省(MAGAP)が植林地を所管しています。森林の種類(天然林と植林地)によって、環境省または農業畜産水産省がそれぞれ伐採許可、輸送許可証と輸出許可証を発行します。
森林の種類(天然林と植林地)に関わらず、伐採許可発行前には、所管する省庁によって現場検査が実施されます。また、環境省と農業畜産水産省は、幹線道路、特に森林地域と隣接する道路上に木材や家畜の輸送を24時間検査するチェックポイントを設置しています。木材輸送者は、必要な輸送許可書類の提示を求められ、積み荷の検査を受けます。丸太・木材製品の輸送には、インボイス(Guia de Remisión)と、輸送許可証(Guia de Circulación)または、土場からの輸送許可証(Guia de Canje)の携帯が義務付けられます。輸出時には、インボイスと輸送許可証に基づき、輸出許可証が発行されます。
木材の一次加工業を実施する事業者は、環境省に登録することが定められています。事業者は、年に2回木材の調達、在庫、販売した木材製品について報告する必要があります。
法令
土地所有権と森林伐採関連
- 環境基本規範(Codigo Orgánico del Ambiente 2017: COA 2017)(PDF : 0.27MB) :森林の土地所有権を定め、天然林管理と保全について規定します。
- 省庁間合意No.125 :熱帯林の持続可能な管理、利用、保全に関する規則を定めます。
その1(PDF : 3.04MB)
その2(PDF : 2.37MB)
その3(PDF : 2.01MB) - 省庁間合意No.139(PDF : 0.10MB) :木材伐採に関する行政手続きを定めます。
- 省庁間合意No.040(PDF : 0.06MB) :植林地の木材伐採とアグロフォレストリーシステムの樹木利用を定めます。
加工・輸出関連
- 省庁間合意No.327(PDF : 0.28MB) :伐採計画の作成・実施及び木材の輸送に関して規定します。
- 省庁間合意No.049(PDF : 2.48MB) :木材製品の原産地証明と輸送に関する行政手続きを規制します。
労働衛生関連
- 労働法(PDF : 0.43MB) :雇用主の権利や労働者の権利について規定しています。
- 農業畜産水産省(MAGAP)決議No.3(PDF : 0.59MB) :植林地に関する活動を行うにはオペレータ―を登録する必要があると規定しています。
関係行政機関一覧
名 称 | 略称 | 主な業務 |
環境省(Ministerio del Ambiente) | MAE | 天然林を所管し、天然林の木材伐採許可、木材輸送許可、輸出許可を発行し、伐採管理を行います。またワシントン条約(CITES)の管理当局となっています。 |
農業畜産水産省(Ministerio de Agricultura y Ganadería Acuacultura y Pesca) | MAGAP | 植林地を所管し、植林地の開発・促進を行い、植林地の伐採許可、輸送許可、輸出許可等を発行します。CITESの管理当局となっています。 |
分権自治政府(Gobiernos Autonomos Descentralizados) | GAD | 県レベルの政治的、行政的、経済的自治を有し、当該県の公有林森林計画と森林統計を担当します。 |
3.その他木材等の適正な流通の確保に関する情報
(1) 民間の森林認証スキーム
エクアドルでは、FSC(Forest Stewardship Council)の森林管理(FM)認証の活用は限られています。2018年10月時点で、4件のFM認証(認証合計面積5万7千ha)を受けた植林地があります。これは、植林地合計面積の39%に相当します。また、2か所の植林地(バルサ材とユーカリ材を生産)が管理木材の供給源として認められています。一方で、FM認証を受けた天然林はありません。CoC(Chain of Custody)認証を取得している団体は17団体となっています。
4.合法性の確認に活用できる書類の事例
伐採許可証(植林地)(PDF : 0.14MB) | |
発行対象 | 伐採事業者 |
発行者 | 環境省または農業畜産水産省 |
概要 | 伐採許可証は、森林インベントリと伐採計画に基づき発行されます。森林タイプ(天然林または植林地)に応じて、それぞれを所管する省庁が発行します。伐採許可証には、伐採許可番号、伐採面積(ha)、木材樹種別の伐採量、場所、有効期限などの情報が記載されています。 |
(出典)「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国における現地情報の収集(熱帯地域)事業報告書(平成31年3月報告)
輸送許可証(Guia de Circulación)(PDF : 0.12MB) | |
発行対象 | 木材製品輸送者 |
発行者 | 環境省または農業畜産水産省 |
概要 | 森林タイプ(天然林または植林地)に基づき、それぞれを所管する省庁が発行します。輸送許可証には、製品名、樹種名、数量、所有者名、製品の仕向地、車両情報、有効期限などの情報が記載されています。 |
(出典)「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国における現地情報の収集(熱帯地域)事業報告書(平成31年3月報告)