准フォレスター研修 ii の第1回が始まりました~1日目(平成23年10月17日)
本日から、東北ブロックの准フォレスター研修 ii の第1回が岩手県盛岡市の「いわて共済ビル」において始まりました。
研修生は、准フォレスター研修 i を受講した福島県を除く東北5 県の林業普及指導員等20名、森林管理署の流域管理調整官等4名、合計24が
参加しています。また、研修4日目~5日目には、森林施業プランナーの森林組合職員7名が参加します。
研修生は、5日間の日程で講義・演習等の研修を受講します。
川嶋 直プロセスマネージャーによるアイスブレイク
研修前半(8月)を終えた以降のそれぞれの職場における活動状況について情報交換をしました
森林整備企画演習(路網整備等効率的な施業構想の策定)
本演習はのねらいは、路網整備等効率的な施業構想の策定を通して地域林業の将来ビジョンの考え方について知見等を養うことです。
到達点は、唯一無二の答えを求めるのではなく、様々な発想があること、集約化を誘発・誘導し、施業を活性化させていく政策的観点からの検討の重要性、フォレスターとして、中立的立場で技術合理性、経済合理性、さらに将来性を考慮した構想を持って、地域に提言をしていくことを理解させることです。
講師:林野庁 高井秀章課長補佐
現在の森林整備事業は、林道は林道事業計画に基づく実施、造林事業は事後の補助申請となっており、両事業の連携や計画的実行が行われていません。
このため、両者を連携させ、具体的な森林施業と木材生産を計画的に進めていくことをイメージさせ、森林施業を計画的に実施していくことを前提とした、木材の安定的供給、需要の開拓等を通じて森林所有者の利益に資していくため本演習では、(1)市町村の中で、間伐を推進し木材供給を重点的に実施する生産林の区域を選定したと仮定し、(2)この演習では、事業体の10年間程度の事業量を想定して、区域の面積を概ね1,000haとして、(3)その区域の10年間の林業専用道の作設計画とその開設費用を概算、間伐の事業計画と収支、販売戦略を検討し、林業の将来ビジョンをまとめます。
検討に当たって参考とする情報について説明がありました。
対象区域(約1,000ha)において、森林調査簿、傾斜区分図、10年間の間伐箇所位置図、その他の情報をもとに、将来の森林整備を見据えた林業専用道の位置、線形を検討し、図面に図示しました。
林業専用道計画を策定するに当たっての着眼点と、現地踏査で確認すべき箇所(図上では作設の可否の判断が難しい箇所、隘路となる箇所)をまとめました。その後、専用道計画、着眼点、現地で確認すべき箇所を班ごとに発表しました。
研修2日目(平成23年10月18日)
研修2日目は、岩手県盛岡市姫神岳国有林において、森林整備企画演習の現地踏査と現地確認を踏まえて計画の修正を行いました。
森林整備企画演習(現地踏査)
昨日の演習において、現地踏査で確認すべきとした箇所を確認し、専用道計画の可否を検討しました。
森林整備企画演習(机上演習)
現地実習を終えて研修会場にもどり、現地踏査を踏まえた机上演習に入る前に林業専用道と施業の集約化はなぜ必要かについて、説明がありました。
現地踏査を踏まえ、林業専用道の位置・線形、また、間伐計画箇所(実行すべきか否か等)を検討しました。また、路網整備等推進エリアを念頭に、森林整備の戦略を検討しました。
研修3日目(平成23年10月19日)
森林整備企画演習(机上演習)
昨日の現地踏査及び踏査結果を踏まえてとりまとめた、10年分の事業量、コスト、収支等の概算及び路網計画、間伐推進箇所の優先順位等の計画について、班ごとにプレゼンテーションを行いました。
市町村森林整備計画(案)によるワークショップ(演習)
本演習のねらいは、市町村森林整備計画の作成に当たっての多様な視点を養うことです。
到達点は、市町村森林整備計画のゾーニング、森づくり、路網整備、木材生産の展開について、自然的、社会的条件を踏まえた総合化した計画とする視点を養成すること、市町村森林整備計画の作成に係る具体的な問題点、課題を見出し、課題解決に向けた方法について意見交換により共有を図ることです。
講師:林野庁 小島孝文首席森林計画官
1週目の5日目の「課題設定」で指示され、研修生が持参した各都道府県の市町村森林整備計画及び林況、地況、林業生産の担い手(森林組合、素材生産業者)、木材流通、木材受給、加工工場等の所在などの資料を事前に準備し、「路網整備等推進エリア」など付随する情報により図上に林業専用道の予定線を書き込みます。
資料、路網整備状況などを根拠としながら、域内のどの地域で木材生産を展開するか県別に発表し、他班との質疑、意見交換を行いました。
講師から講評
研修4日目(平成23年10月20日)
森林施業における労働安全(講義)
本講義のねらいは、林業の現場に潜むリスクやその防止策等についての講義を通じて、施業計画の検討等に際し、労働環境の安全性も意識したものとなるよう、基礎的な知識を身につけることです。
林業の現場作業における個別、具体的な労働安全対策は、フォレストマネージャーやフォレストリーダー等の現場技能者が主体となって実践しているところですが、地域の森林整備の将来像や望ましい姿を念頭に指導・助言する准フォレスターや、森林所有者に対し効果的、効率的な施業プランを提案する森林施業プランナーにとっても、労働安全に関する知識は、安全でやりがいのある森林整備作業の構築に向けて、市町村や林業事業体に対して総体的に支援していく上で、欠かせないものの一つです。
本講義により、研修生は、作業システムの検討等を行う准フォレスター等は、常に現場の安全について意識することが必要であることを理解しました。
外部講師:(社)林道安全協会 松隈 茂氏
森林経営計画の概要(講義)
本講義のねらいは、新たな森林経営計画制度と当該計画の実効性を高めるためにどのような取組が必要かについて理解を深めることです。
新たな森林経営計画制度は、これまでの森林施業計画制度を見直し、持続的な森林経営を具体化する計画となり、准フォレスターは市町村が行う計画認定、また、計画に従った施業等の実施の実行監理について、技術的な支援を行うこととしています。
このため、的確な計画認定を進めるとともに、作成者への助言等を行うための能力を養成する必要があります。
そのため、本講義では、森林経営計画の見直しの概要、森林経営計画の実施の用件等についての説明を通じて、森林経営計画制度について理解を深めます。
森林経営計画作成演習
本演習のねらいは、プランナーは、森林経営計画作成の基本的な流れについて、フォレスターは、森林経営計画の作成者に対する指導・助言のポイントを理解することです
到達点は、森林経営計画の作成の手順、流れと森林経営計画対象林班における事業の構想を練るとともに、その過程において森林経営計画作成に係る課題や課題解決のヒントを身につけることです。
森林経営計画作成の流れについて説明 各県から参加した森林施業プランナー
研修参加しているプランナーは、森林経営計画の作成を予定している複数林班を選定し、都道府県の協力を得て、森林現況などの資料、間伐の対象齢級となっている箇所を森林計画図上に示したものを持参しました(事前に要請)。
プランナーと研修生でグループを構成し、対象林班について集約化を進め、木材生産を行う区域の設定や森林作業道の予定線形について検討しました。
各グループの森林施業プランナーから検討結果と、検討過程で課題となった内容及び課題の解決方法について発表し、他班との質疑、意見交換を行いました。
森林施業プランナーの発表にフォレスターとして補足説明する研修生
講師から講評
研修5日目(平成23年10月21日)
木材流通・販売(講義)
本講義のねらいは、木材の用途、価格、必要とされる原木の用件等、木材の流通・販売の現状を把握し、木材の売買に係る感覚、情報収集、分析ができるスキルを養うことで、素材生産や森林施業の場で、より現実の需要に即した対応能力を高めることです。
川上の生産現場のみならず、川下の販売・流通現場の実態を理解することは、地域の森林・林業を地域の森林整備の将来像や望ましい姿を念頭に指導・助言する准フォレスターや、森林所有者に対し効果的、効率的な施業プランを提案する森林施業プランナーにとって、欠かせない知識の一つです。
講師の経験に基づいた地域の実情についての説明を通じて、地域の流通・販売現場のリアルな動きについて理解を深めました。
外部講師:ノースジャパン素材流通協同組合 高橋早弓常務理事
研修全体の振り返り
全研修を終えて自分が目指すフォレスター像・プランナー像について、シートへ記入しました。
班ごとに自分が記入したシートの読み合わせを行いました。
最後に准フォレスター、森林施業プランナーとしての決意を一人ひとりが発表しました。
准フォレスターとして
林野庁小島首席森林計画官から、研修を振り返るとともに研修生に期待と励ましの言葉がありました。
閉講式
閉講にあたり、伊藤盛岡森林管理署長から研修生に対し、ねぎらいとこの研修で得た知識などを基に、それぞれの職場での実践と研鑽に期待するとの挨拶がありました。
最後に全員で記念撮影を行いました。研修生の皆さん計2回、10日間の研修お疲れ様でした。
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