准フォレスター研修日誌 i(1)
准フォレスター研修とは
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准フォレスター研修 i の第1回が始まりました~1日目(平成23年8月29日)
本日から、東北ブロックの准フォレスター研修 i の第1回が岩手県盛岡市の「いわて共済ビル」において始まりました。
今回は、青森県・秋田県・岩手県・山形県・宮城県の林業普及指導員等20名、森林管理署の流域管理調整官等4名、合計24名が参加しています。研修生は、5日間の日程で講義・演習・現地実習等の研修を受講します。
研修初日開講式が行われ、矢部東北森林管理局長から「森林・林業再生プランは市町村森林整備計画を地域の森づくりのマスタープランとなるよう位置付けた。フォレスターは、持続可能な森林経営を実践していくとともに、市町村を技術的にサポートしていくことを求められており、この研修の中で身につけてもらいたい。国有林職員、都道府県職員それぞれの得意分野のノウハウをこの研修での交流を通じて共有し、今後の活動に役立ててほしい。山を見る力が重要となっており、引き続き実践していただき、これまで培ってきた能力をさらにレベルアップを図ってください」との激励の挨拶がありました。
林政審議会会長である岡田岩手大学教授から「林政において、これまで国有林と民有林は明確に位置づけが違っていた。フォレスター制度により、民有林と国有林が一体となって持続ある森林経営、管理、利用を実践していく時代を迎えている。日本の現場に即して歴史的展開、地域の展開を踏まえてフォレスターが一日でも早く実現していくことを念じており、皆さんへの期待は大きいので頑張ってください」との挨拶がありました。
森林・林業再生プランの概要と准フォレスターの役割(講義)
本講義のねらいは、森林・林業再生プランの概要及びその具体化に向けた国としての取組を学ぶとともに、取組を推進する人材としての准フォレスターの果たす役割についての理解を深めることです。
講師から、森林・林業再生プランの概要、プランの実現に向けた具体的措置について説明がありました。さらに准フォレスターの役割については、日本型フォレスターとはどのような者か、日本型フォレスターとして期待されていること、日本型フォレスターの担う業務について説明があり、研修生は説明を通じて、研修全体の構成、それぞれの役割、関係について理解を深めました。
市町村森林整備計画の概要(講義)
本講義のねらいは、新たな市町村森林整備計画制度と当該計画の実効性を高めるためにどのような取組が必要かについて理解を深めることです。
准フォレスターは、新たな市町村整備計画の作成や計画の達成に向けて市町村を技術的にサポートすることとしており、受講生は市町村整備計画の内容について正しく理解しておく必要があります。
講師から、市町村森林整備計画の見直しとマスタープラン化、市町村森林整備計画の作成の進め方・手順、市町村森林整備計画の進行監理に説明がありました。
森林施業の集約化(講義)
本講義のねらいは、准フォレスターは森林経営計画の認定に際して、市町村職員とともに森林施業プランナー等を指導することから、森林施業プランナーが取り組む提案型集約化施業の内容・手法等について理解を深めることです。
森林経営計画を作成・実行する森林施業プランナーと、その認定支援を行う准フォレスターは、計画の構想段階から実行段階において、目指すべき地域の森づくりの実現、地域の林業の活性化のために密接な連携が不可欠です。
そのため、森林経営計画の作成・実行段階で重要な取組となる森林所有者の施業実施に対する合意の取り付けにあたって、森林施業プランナーが実施する提案型集約化施業に理解を深めるため、
講師から、提案型集約化をめぐる昨今の情勢、提案型集約化施業の定義と反例、提案書とは、工程別単価とは、提案型集約化施業の手順、森林施業プランナーの苦悩とフォレスター、森林経営計画制度での提案型集約化と期待される効果について講義がありました。
講義の振り返り
1日の講義をふりかえり、印象に残った言葉・新たに気付いたこと、腑に落ちたこと等や疑問点・不明点・腑に落ちないことを記入します。
研修2日目(平成23年8月30日)
コミュニケ―ションとプレゼンテーション
講師から、フォレスターは、利害関係の調整や多様な視点を持つ関係者の意見聴取、合意形成など高度な調整能力が必要である。また、意見を調整するためには、意見を広く正確に聞き、伝えるというコミュニケーション能力及びプレゼンテーション能力が必要である。今回の研修を自分のコミュニケーションとプレゼンテーションのよいトレーニングの機会ととらえるため、トレーニングの方法、コミュニケーションのポイントについて説明が行われました。
ゾーニングと森林施業の考え方
本講義のねらいは、森づくりに関する基本的な考え方、望ましい森林の姿に向けた誘導方法など地域における長期的な森づくりの構想を立案する際に必要となる基本的な事項について理解を深めることです。
フォレスターは、長期的な視点に立って森づくりの構想を立てるとともに、構想に沿った森づくりが行われるよう地域の関係者の合意形成を図る必要があります。
このため、フォレスターは、森づくりに関する基本的な考え方、科学的知見を踏まえ、地域の森づくりを構想し、地域の関係者の合意形成を図る必要があります。
本講義において、講師から、森づくりの基本的な考え方、ゾーニング、目標林型、施業体型(間伐)、森づくりを進めるための制度的枠組みについて説明が行われました。
路網と作業システム
本講義のねらいは、森林・林業再生プランの柱である路網と作業システムについて、地域の実態・実例を踏まえながら、その改善の必要性、改善のポイント等を理解するとともに、グループ演習の前に共有すべき理念、理論、知識等を身につけることです。
講師から、路網の現状と新たな作設指針、作業システムと路網、路網の作設・計画、生産コストの考え方等について講義が行われました。
森林施業の実行監理
本演習のねらいは、施業提案書及びその実行等が技術合理性、経済合理性に裏付けされた良いものとなるよう森林施業プランナーに対し支援、指導・助言する際に必要となる視点を養うことです。
講師から、本演習のねらいを他の演習の趣旨も含めながら説明がありました。
施業提案書の紹介、年間事業計画とコストについて説明がありました。
グループ毎に地域の作業システムを想定し、エクセルシート(間伐シート様式)を用いて、年間事業計画の作成、コスト計算の基礎を演習、発表、意見交換、共有を行いました。
20haの仮想集約化団地を舞台に必要な情報を整理し、手持ちの作業システムをもとにした施業方法、図上表示した路網計画を提示しました。
提示した作業方法、路網計画、作業システム等についての問題点、あい路等をグループ毎に検討し発表を行いました。
マーケットに関する情報を活用し販売額、利益を上げる方策について説明がありました。
研修3日目(平成23年8月31日)
研修3日目は、岩手県盛岡市姫神岳国有林において、仮想集約化団地の現地踏査及び森林施業検討会を行いました。
仮想集約化団地の現地踏査
昨日図面を提示され、作業方法、路網計画、作業システム等についての問題点、あい路等をグループ毎に検討した箇所について、現地踏査を行いました。
路網線形に関して隘路となるポイントを確認しました。
簡易で丈夫な道づくり等について意見交換を行いました。
仮想ではない現林分を前に将来の森林の姿、誘導方法について班毎に発表し、意見交換・共有を行いました。
森林施業検討会
本実習のねらいは、地域の森づくりを進めるため、目標林型、生産目標を構想する上での知見、考え方を養うことです。
講師から、市町村森林整備計画により地域の森づくりを構想するなど森づくりの基本的な考え方を確認した上で、現地実習の意図について説明がありました。
スギ95年生の間伐実施林分において、森林簿、施業履歴、地形図等の情報をもとに、班毎に短時間の現地踏査を行い、森林現況を把握しました。
班毎に森林情報及び現地踏査から、将来の森林の姿(目標林型)、生産目標、現状の森林からの誘導方法(施業方法)について検討した後、検討結果をグループ毎に発表し、他班、外部講師等と質疑・意見交換を行いました。
午後から雨天になりましたが、スギ38年生の間伐実施林分において、森林簿、施業履歴、地形図等の情報をもとに、班毎に短時間の現地踏査を行い、森林現況を把握しました。
班毎に森林情報及び現地踏査から、将来の森林の姿(目標林型)、生産目標、現状の森林からの誘導方法(施業方法)について検討した後、検討結果をグループ毎に発表し、他班、外部講師等と質疑・意見交換を行いました。
研修4日目(平成23年9月1日)
昨日の講義においての質問・疑問について、内部・外部講師から解説がありました。
市町村森林整備計画演習
本講義のねらいは、地域の自然的、社会的条件を背景として、発揮が期待される機能に応じた地域の森づくりについて検討する手順、ポイントを習得することです。
これまでの研修内容を確認した上で、ゾーニング演習の位置づけについて説明がありました。
市町村森林整備計画のゾーニングの目的を説明し、一定の面的広がりのあるエリアについて、グループ内で分担して作業し、最期に全体を調整してゾーニングを実施しました。
8人で1つの班をつくり、ゾーニング・施業方法の選択を実施
ゾーニング・施業方法の選択の実施に当たっては、班内2人一組で担当林班を決めて作業。
グループ毎のゾーニング・施業方法の選択が終了した後で、班内の隣接林班等との目標林型、生産目標等について調整し、班全体としてのゾーニングマップを作成。あわせて搬出木材の販売などの検討できる要素も書き込みます。
ゾーニング結果をグループ毎に発表し、他班、外部講師等と質疑・意見交換を行いました。
班毎にゾーニングマップをもとに、ゾーニング・施業方法の選択の考え方、結果を説明。
研修生同士で、他班のゾーニングマップについての質疑応答を実施。
研修5日目(平成23年9月2日)
これまでの講義においての質問・疑問について、内部講師から解説がありました。
第2週に向けた課題設定について
昨日の市町村森林整備計画演習を振り返るとともに、第2週に行うグループ演習に向けた準備資料について説明がありました。
研修全体の振り返りと目指すフォレスター像について
グループ毎に受講前に想像していたフォレスター像、研修前半を終えて思う、理想的(標準的)なフォレスター像、理想的(標準的)なフォレスター像の実現のために求められることや課題と思われること、課題解決のために個人レベルでできること、集めたい情報、つなぎたいネットワークなどについて、検討し発表、意見交換を行いました。
閉講式
予定されていた講義・演習等を修了し閉講式が行われ、東北森林管理局合田計画部長から「県職員は民有林行政に精通している。国有林職員は現場体験が豊富でありフィールドを持っている。それぞれの強みを持っており、その強みを活かして連携やスクラムを組んで一緒になることで地域、市町村の森林林業の発展につくしていけるのではないかと期待している。皆さんは初代の准フォレスターとして、森林・林業の再生に当たって、大きな期待と熱い視線を注がれており、そのことを自覚の上、職場に戻ってますます精進され活躍されることを祈念しています」と挨拶がありました。
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