令和6年度愛媛国有林野等所在市町長有志協議会
令和6年10月28日
愛媛森林管理署
令和6年10月10日(木曜日)、愛媛森林管理署は、令和6年度の愛媛国有林野等所在市町長有志協議会(以下、有志協議会)を愛媛県松山市で開催し、河野久万高原町長(有志協議会代表世話人)、玉井西条市長(有志協議会副代表世話人)、武智伊予市長、佐川砥部町長、二宮大洲市長、坂本松野町長、兵頭鬼北町長のほか、8市町の森林・林業担当部局、愛媛県森林局、四国森林管理局ら合計45名が出席しました。
![]() 有志協議会の様子 |
〇令和6年度の有志協議会の進め方
有志協議会は、愛媛県内の国有林野が所在する市町の首長等から、意見・要望を聞き、愛媛森林管理署が回答する場です。昨年度の有志協議会で市町から頂いた意見・要望の約半分は、林業の担い手確保・育成に関するものでした。愛媛森林管理署は、愛媛県内で林業の担い手確保・育成に取り組まれている方々の事例を紹介しつつ回答しましたが、愛媛森林管理署は実際の取組みを行っている当事者ではないため、説得力のある回答とはなりませんでした。また、昨年度の有志協議会では、様々な要望に1つ1つ回答するのではなく、テーマを絞って議論を深める方が有意義であるといった意見も出されました。そのため、令和6年度の有志協議会は、林業の担い手確保・育成をテーマとして、現場最前線で尽力されている方を招き、苦労や成功例等をご説明いただき、首長を交えて意見交換する形式としました。
具体的には、宇和島市、松野町、鬼北町が共同で設立した(一社)南予森林管理推進センターが重点的に取り組んでいる、「森づくり」・「人づくり」の2本の柱のうち、「人づくり」事業のメインである南予森林アカデミーにおいて、研修カリキュラムの作成や研修生の実習に同行されている門田研修教務課長、30年以上にわたり林業事業体の経営に携わり、中予地域の中心的な林業事業体である(株)いぶきの白川取締役事業部長をお招きし、取組内容をお話いただきました。
〇南予森林アカデミーにおける林業の担い手育成・確保の取組み
門田研修教務課長から、主に以下の説明がありました。
・森林経営管理制度や森林環境譲与税の開始(2019年4月)を見据え、宇和島市、松野町、鬼北町の3市町が自前で「人づくり」と「森づくり」に取り組むことが必要であるとの認識を共有した。
・3市町は、「人づくり」と「森づくり」を運営する(一社)南予森林管理推進センターを設立し、森林環境譲与税を活用して運営することとした。
・南予森林アカデミーの研修生募集人数は5名、対象資格は研修終了後に3市町に就業する意志のある者、研修期間は1年間で林業に必要な技術や技能を取得(即戦力を育成)、愛媛県林業研究センター、四国森林管理局、愛媛森林管理署等から、研修講師の派遣や研修フィールドの提供を受けている。
![]() 説明をする(一社)南予森林管理推進センターの門田研修教務課長 |
〇林業の担い手人材の見つけ先、人材育成の方法
白川取締役事業部長から、主に以下の説明がありました。
・以前は、愛媛県内就業相談会、全森連主催就業ガイダンス(東京、大阪等)が担い手人材を発掘する主な機会であったが、現在では、愛媛県労働力確保支援センター、他県の林業大学校が人材発掘の主流となっている。
・(株)いぶきの経営者として心がけていることは、企業の理念や方針がぶれないようにすること、社員のモチベーションを低下させないこと、矜持を持って仕事をすることである。
・(株)いぶきから独立し、林業事業体を立ち上げる者は、人材育成に時間と費用をかけてきた会社にとって損失であるのは事実であるが、地元(久万高原町)で林業をやるのであればいいと肯定している。(株)いぶきが久万高原地域の林業技術者を育成する機関となっているのであれば、それでいいと考えている。
・全国規模で行われる全森連主催の就業ガイダンスに20年近く参加して感じることは、移住者の潜在数は非常に多いということ。ただし、林業の年収は375万円(日当1.5万円×年間250日)。これは他産業より100万円少ない。この現実を就業希望者に話すと林業への就業をあきらめてしまう。他方、収入が少々少なくても、都会等の生活に比べて生活コストが下がればやっていけると考えている。そのためには、移住者に対する行政の支援が不可欠。
白川取締役事業部長の説明後、西条市や伊予市、砥部町の首長から、次のような発言がありました。
・農業の場合は高付加価値化や加工を視野に経営できるのに対し、林業はそれが難しい。林業という職に夢を持てるか、将来設計ができるのかが重要。
・地元に林業の第三セクターがあるが、高卒の若者が短期間で離職してしまう。離職理由がよく分からない。林業や農業の就業者について、行政としてどうあるべきか真剣に検討している。
・地元に林業の第三セクターがあるが、赤字経営である。赤字の解消に苦慮している。
![]() 説明をする(株)いぶきの白川取締事業部長 |
〇来年度の有志協議会
有志協議会に参加した首長から、「林業の担い手の育成・確保は、市町が抱える共通の課題。今回は個別の機関や林業事業体から具体的な事例の紹介をしてもらい、非常に参考になった。また、有意義な意見交換ができた。」とのご意見がありました。このような意見を踏まえ、来年度の有志協議会においても、林業の担い手確保・育成など地域の林政を巡る課題をテーマに据えて、現場最前線で尽力されている方から取組内容をご説明いただくなど、内容も工夫して開催していきたいと考えています。愛媛森林管理署としても管内自治体とのコミュニケーションをさらに強化して地域の課題を的確に共有するとともに、課題の解決に向けて事業の実行を通じて貢献していきたいと考えています。
お問合せ先
愛媛森林管理署
担当者:愛媛森林管理署
ダイヤルイン:089-924-0550