久万高原町立美川中学校で実施した総合的な学習の概要
令和6年10月31日
愛媛森林管理署
愛媛森林管理署は、令和6年10月17日(木曜日)、久万高原町立美川中学校の依頼を受けて総合的な学習の時間で授業を行いました。
美川中学校は、地域に対して誇りを持ち、地域に貢献する人間を育てることを目的に総合的な学習の時間を設けています。令和6年度の総合的な学習の時間は、全学年生徒(23名)を4チームに分けて、各チームが独自のテーマを設定して行われています。愛媛森林管理署に講義を依頼したチームは5名で(中3:2名、中2:2名、中1:1名)、「自然豊かな大川嶺」を今年度の「探究」のテーマに選びました。
このチームは、文献やネット情報で美川中学校区(柳谷、美川、面河)の自然を調べ、「分かったこと」と「疑問に思ったこと」を整理した結果、「なぜ大川嶺は自然豊かなのだろう?」との疑問がわき、「大川嶺を守る取組みを調べればわかる」と考えました。また、大川嶺は国有林であることから、愛媛森林管理署の方に教えてもらえば、疑問が解消されるだろうと考えました。そのため、美川中学校の先生から愛媛森林管理署に対し、講義の依頼がありました。また、合わせて、久万高原町の林業の現状や課題の説明や、生徒達が地域に対して誇りを持てるよう久万高原町の林業に貢献している方々を紹介してほしいとの依頼もありました。
愛媛森林管理署は、生徒達の質問の回答として、以下の2点を説明しました。
(ア)大川嶺は、自然公園法に規定する四国カルスト県立自然公園に指定され、良好な自然環境を保全するため、開発行為が規制されていること。
良好な自然環境を保全するため、土地所有者である愛媛森林管理署が行っている活動(出先に職員を配置し、法令に違反する行為がないか巡視を実施等)や法令の権限者である愛媛県が行っている活動(愛媛県ホームページ等を通じた適切な利用の呼びかけ、法令に違反する行為に対して罰則を適用等)についても説明をしました。
(イ)大川嶺周辺の気候や風土にマッチした土地利用(牛の放牧)を行っていること。
大川嶺は、昭和40年代に大規模な公共草地を造成する国営開発事業が行われましたが、寒冷地の大川嶺は農業に不向きな土地柄であり、夏季の高温で餌の摂取が落ちる牛にとって高標高地の大川嶺は牛の飼育場所として最適であったこと、国営開発事業は自然公園法の開発行為の範囲内で行われたこと、地域の産業振興や地域固有の観光資源の創出に対して地元の大きな期待があったこと等を説明しました。
久万高原町の林業の現状と課題についても説明しました。具体的には、久万高原町の9割が森林(約5万2千ヘクタール)であること、人工林の9割が50年生を超えており、森林資源の利用期を迎えていること、その一方で、人口減少により林業の担い手が減少している課題を説明しました。そのような中、久万高原町は、「林業日本一のまち」を掲げ、林業を中心に据えたまちづくりを推進していること、久万高原町の林業事業体は経営を安定させて林業の担い手の確保と育成に努力し、久万高原町の林業振興に貢献していること等についても説明しました。
講義終了後、生徒達から、「今までの授業で大川嶺の自然について調べてきたが、愛媛森林管理署の講義は初めて聞く内容であり、大変勉強になった」、「今後、チームの探究テーマを取りまとめることになるが、大川嶺の自然の豊かさを伝えていきたい」などの感想がありました。
愛媛森林管理署は、地域の学校の依頼に基づき、今後も講義を行っていきたいと考えております。
![]() 講義の様子 |
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愛媛森林管理署
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