小林式誘引捕獲について
従来のくくり罠は、けもの道へ設置することから、シカを捕獲するには経験を積む必要がありました。
小林式誘引捕獲は、シカが餌を食べる際に、口元へ前足を置く習性を利用し、開発した捕獲方法です。くくり罠と餌を上手く組み合わすことにより、初心者でも簡単かつ効率良くシカを捕獲することができ、新たな捕獲方法として注目されています。
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シカが餌を食べる様子 | 小林式誘引捕獲の設置例 |
設置手順(事前準備)
- ・設置場所
- けもの道以外でも設置が可能なため、アクセスしやすい場所に限定して設置ができます。もちろん従来どおりに、けもの道へ設置しても構いません。
- また、シカの痕跡が多い場所に設置するのがおすすめです。痕跡が少ない箇所は事前に餌付けを入念にする必要があります。
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平地での捕獲例(写真は河川敷) 斜面での捕獲例
- ・使用する罠
- 市販のくくり罠を使用します。おすすめは押しバネタイプでワイヤー跳ね上げ式の罠です。
- 捕獲率を上げるには、踏み板を踏んだ際に、軽い力で早く作動する罠を選びましょう。
- 逆に踏み込む際に力が必要な罠や、設置に時間がかかる罠、空はじきの多い罠などは不向きです。
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塩ビ管を使用した罠 弁当箱型の罠 - ・使用する餌
- 小林式誘引捕獲は餌で誘引して捕獲するため、餌の選択は重要です。
- 選ぶポイントは3つです。
- ・シカが好む餌
- ・入手しやすい餌
- ・乾燥した餌(日持ちしやすく、重量が軽い)
- シカのみを捕獲したい場合は、牧草を丸く固めたヘイキューブがおすすめです。
- イノシシも捕獲したい場合は、米糠がおすすめです。また、地域に応じて好みの餌(被害の多い農作物等)を与えるのも良いです。
- なお、塩や塩分の多い餌は罠が錆びるため不向きです。
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ヘイキューブ |
設置手順(山での設置)
- ・餌付け
- 捕獲を行いたい場所に事前に餌を置き、様子を観察します。この際に罠の設置や見回り等を考慮し、道路から近い場所に限定するのが良いです。ただし、捕獲した動物が道路へ飛び出るような場所は法律上設置できません。
- 餌を完食した時が罠を設置できる目安です。また、餌が食べられない場合は、シカがいない可能性が考えられますので、シカの痕跡等を確認します。
- 痕跡が無い場合は、場所を変えて再度餌付けを実施します。また、痕跡が有る場合は、餌の種類を変えて様子を見ます。
- ・罠の設置
- 餌が食べられた場所を中心に罠を設置します。
- 設置方法の詳細はこちら(PDF : 13,399KB)
- ・見回り
- 罠を設置している期間中は毎日見回ります。道路近くであれば安全に見回りすることができます。
また、空はじきや餌が無くなっている場合はすぐに補修します。
- 罠を設置している期間中は毎日見回ります。道路近くであれば安全に見回りすることができます。
- ・止め刺し
- シカを捕獲できた場合はすぐに止め刺しを行い、状況によって罠を同じ場所に設置します。これは、小林式誘引捕獲が同一罠による連続捕獲が可能なためです。
捕獲事例
令和3年度の管内でのシカの捕獲数は901頭で、そのうちの約半数(497頭)が小林式誘引捕獲による捕獲となっています。
小林式誘引捕獲法事例集(PDF : 7,851KB)
協定締結による捕獲支援
近畿中国森林管理局では、シカによる農林業被害や森林生態系への被害軽減を目的としたシカの捕獲に関する協定締結を推進しています。
これは、各森林管理署等と地元の市や町、鳥獣害対策協議会や猟友会等と捕獲協定を結び、国有林内での捕獲場所の提供や罠の無償貸し出し、小林式誘引捕獲方法等の技術支援を行うもので、これにより国有林とその周辺の民有林とが連携しながら効率的にシカ被害対策を行うことが可能となります。
管内では、令和5年1月末の時点で10署(所)において29件の協定を締結し、令和3年度の協定等によるシカの捕獲数は211頭となっています。
お問合せ先
計画保全部保全課
担当者:保護係
代表:06-6881-3518