鳥海山生物群集保護林
ちょうかいさんせいぶつぐんしゅうほごりん

1. 概要
- 由利森林管理署、庄内森林管理署
- 所在 秋田県由利本荘市、にかほ市、山形県酒田市、飽海郡遊佐町
- 設定 昭和48年4月1日
- 面積 7,240.89ha
2. 設定目的
- 鳥海山は、多雪山地型の垂直分布帯が典型的に発達し、亜高山帯針葉樹林帯を欠いた特徴を持っている。概ね標高1,100mまではブナ-チシマザサ群落で、その上部にはミヤマナラ、ハイマツ、ミヤマハンノキ、ナナカマド、ミネカエデ等の群落が分布し、凹地等には雪田植物群落、ヌマガヤ-ショウジョウスゲ型の草原やアオノツガザクラ群落が広がる。この地域には、鳥海山特産種であるチョウカイフスマ・チョウカイアザミや、一属一種の日本海型分布をする固有属の一つであるトガクシショウマが生育している。山頂一帯は、風衝型の矮性低木群落と火山荒原が発達する。
また、秋田県側の稲倉岳(標高1,554m)の斜面標高1,200m~1,400mの亜高山帯に一部(由利署70ホ1,9.87ha)、コメツガの分布が確認されており、冬の日本海からの季節風の影響により、樹高は4~6mであるが根元径は30~60cmとなっている。
さらに、保護林内にある鶴間池は、八幡町の北東、鳥海山南側の標高780mに位置し、地すべりによって生じた水域で、周辺にあるブナの自然林の景観と調和し神秘性をたたえており、山形県内ではモリアオガエルが最も多く産卵する地域とされている。このような多様な植物群落を一体のものとして保存するために設定する。
なお、本保護林は鳥海ブナ林木遺伝資源保存林を統合したものである。
3. その他
- 取扱い方針
原則として自然の推移に委ねることを基本とし、施業等を必要とする場合には、管理経営の指針に基づき行うこととする。 - 法令制限
水源かん養保安林、土砂流出防備保安林、保健保安林、風致保安林、秋田県指定祓川鳥獣保護区特別保護地区及び山形県指定鳥海鳥獣保護区特別保護地区外、山形県指定天然記念物(鶴間ヶ池のモリアオガエル繁殖地)、鳥海国定公園 - 留意事項
昭和48年4月1日に酒田営林署(現・庄内森林管理署1022い、ロ~ニ林小班)に鶴間池学術参考保護林が設定され、平成5年4月1日の第1次施業管理計画で鶴間池モリアオガエル特定動物生息地保護林に再編された。また、平成元年に酒田営林署(現・庄内森林管理署1022へ6林小班)において生物遺伝資源保存林第1種保存林(秋田ブナ11)が設定され、通達改正により鳥海ブナ林木遺伝資源保存林に再編された。さらに、平成3年4月1日に鳥海コメツガ植物群落保護林(由利森林管理署70ホ1)が設定された。平成16年3月には鳥海山植物群落保護林が設定された。
その後、これらを統合の上、平成29年に鳥海山生物群集保護林に再編された。
お問合せ先
計画保全部 計画課
担当:生態系保全係
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