利根沼田森林管理署について
1 公益的機能の発揮・増進に努めます
| 利根沼田森林管理署は、群馬県の北東部、利根川上流域にある沼田市と利根郡4町村（下表参照）を管轄区域とし、約97千haの国有林を管理しています。 これは、利根沼田地域の総面積177千haの約55％を、総森林面積152千haの約64％をそれぞれ占めています。 当地域は、利根川の最源流域にあたり、中央に山を水源とする利根川本流、西に群馬・新潟県境稜線を水源とする赤谷川、東に群馬・福島・新潟県境を水源とする片品川の3集水域からなっています。 国有林は、標高600～2,500mの里山から奥地山岳地帯まで及んでおり、約3割のを占める人工林はスギ（24%）・ヒノキ（9％）・カラマツ（41%）等が標高1,500m程度まで植栽されています。 天然林はコナラ・クリ・ブナ・ミズナラ・カンバ類などが主で、高い標高域のササ生い地等と合わせて国有林の約7割を占めています。 |
 |
| （1）山地災害防止タイプ（175百ha：18%） ＜治山事業＞ 当地域は、赤城山周辺の火山性の地質による土石流や急峻な山間部での集中豪雨による土砂災害が発生しており、地域住民の安全確保のため森林整備や治山工事が必要となっています。 |
 大規模崩壊地の復旧事業（みなかみ町） |
|||||||||||
| （2）自然維持タイプ（246百ha：25％） 〈武尊自然休養林等〉 管内のほぼ中央に位置する（日本百名山・2,158m）は、険しい稜線をもつ雄大な山体、柱状や板状節理の発達した溶岩、垂直分布の顕著な多様の植生、ブナ・シラカンバの天然林、湿原や湿原の湿原植物、多種類の高山植物などが見られます。 また、周辺の国有林にある歩道3コースが「森の癒し歩道」として利用されています。 |
|
|||||||||||
| （3）森林空間利用タイプ（106百ha：11％） 〈天神平スキー場等〉 日本百名山でもある谷川岳には大勢のスキー客で賑わう天神平スキー場があります。また、当署管内には、国有林を利用したスキー場が数多くあり、多くの国民の憩いの場となっております。 |
 |
|||||||||||
| （4）水源涵養タイプ（445百ha：46%） ＜水源林＞ 利根川の源流域にあたる当署管内には、首都圏の水資源確保や洪水調節のために矢木沢ダムをはじめ7基のダムが設置されており、その上流部の森林はほとんどが国有林となっています。このため、地域のみならず、首都圏の「水源林」としての期待と役割は大変大きなものがあり、署全体の国有林野面積の63％を「水源かん養保安林」に指定しています。 |
 |
|||||||||||
2 地域や民有林との連携を一層強化します
| （1）森林総合監理士（フォレスター）の育成 当署の研修室及びフィールドを使用して、地域の森林の整備・保全及び林業の成長産業化を担うフォレスター（森林総合監理士）を目指す技術者等を対象とした研修が実施されており、都県職員・国有林職員併せて多数の修了者を輩出して来ました。 さらに、関東森林管理局による全局で初めての取組となる准フォレスター等を対象とした都県職員、国有林職員合同の様々な研修も実施されており、当署は国有林の民有林支援における人材育成の一環である研修の拠点として大いに活用されています。 |
 |
 |
| 当署の国有林を活用した研修 | ||
| （2）森林整備協定の締結 国有林と隣接する民有林とが有機的に連携し、効率的・効果的に路網整備や森林整備を行う森林共同施業団地の取組を進めています。 |
 |
|
| 川場村・県・森林管理署の3者協定 | ||
| （3）国有林野有志協議会、市町村森林整備計画との連携 地域の森林・林業の発展に向け、地元市町村との協議の場として「利根沼田地区国有林野所在市町村有志協議会」を設置するほか、民国の森林行政機関が協働しながら各種の森林計画の立案に取り組んでいます。 |
 |
|
| 管内5市町村、県との定期会合 | ||
3 地域の皆さんに身近な国有林を目指します
| （1）赤谷プロジェクトの推進 協働による生物多様性の復元（AKAYAプロジェクト） みなかみ町に広がる約1万haの国有林「赤谷の森」において、地域住民や自然保護団体との協働による、生物多様性の復元と持続的な地域づくりを目指す「AKAYAプロジェクト」を展開中です。プロジェクトでは、自然林への誘導、生物多様性の指標となる猛禽類が生息できる森づくりなどに取り組んでいます。 |
 |
 |
| 赤谷の森のイヌワシ（写真は（公財）日本自然保護協会提供） | ||
| （2）レクリエーションの森 管内の豊かな自然環境を積極的に利用していただくために、自然休養林、野外スポーツ林、風景林などのレクリエーションの森を約6,480ha設定しています。 |
 |
 |
| 秋の谷川岳 | レンゲツツジ | |
| （3）生物多様性保全に向けた取組の推進 地元市町村、NPO団体、企業等と連携し、外来植物の駆除活動、希少植物種の盗採等の違法行為に対する巡視など生物多様性保全に向けた活動を実施しています。 |
 |
 |
| NPOと連携した外来植物の撤去作業 | アメリカセンダングサ | |
| （4）森林ボランティア活動の積極的な受け入れ 教育機関、地方公共団体、企業等と連携し、都市部の皆さんのボランティア活動の実施、体験林業の指導、森林教室等を実施・支援しています。 |
 |
 |
| 小学生による林業体験（植樹） | 中学生による林業体験（つる切） | |
| （5）フィールドの提供 自然環境を学んだり、林業体験、森林教育の場としてフィールドを提供しています。 ・「遊々の森」として、片品村、昭和村に約10ha。 ・「ふれあいの森」として、自治労東京都本部、玉原高原の自然を守り育てる会、川場村に約42ha。 ・「社会貢献の森」として、三菱UFJ環境財団、CCC自然・文化創造工場関東事業部、ドングリの会東京に約52ha。 |
||
4 地域環境の保護・保全を目指します
| （1）獣害、森林病虫害対策 ニホンジカ、ツキノワグマによる樹木の剥皮被害等が激増傾向にあるため、平成26年度に関東局初の取組として、地元猟友会と協定を締結し国有林内での狩猟を実施しています。 また、平成22年、みなかみ町土合において群馬県では初めてのナラ枯れ被害が確認されたため、行政・研究機関・事業体等が連携して、対策マニュアルの策定（県）し、被害木処理等に取り組んでいます。 |
 |
 |
| 深刻なニホンジカによる被害 | 猟友会と協定調印式 | |
| （2）保護林、希少動植物の保護 ＜希少動植物の保護ほか＞ 管内には、上信越高原、尾瀬、日光国立公園、国及び県指定の自然環境保全地域のほか、「利根川源流部・周辺森林生態系保護地域」、ネズコ・天然ヒバ等の「植物群落保護林」（5箇所）、「緑の回廊」（三国線、日光線の2箇所）を設定しており、野生動植物や自然環境の保護・保全に努めています。 |
 |
 |
| イヌワシ | 【緑の回廊三国線（秋の平標山）】 |
| 種類 | 面積（ha） |
| 保安林 国立公園 自然環境保全地域 県自然環境保全地域 森林生態系保護地域 林木遺伝資源保存林 植物群落保護林 緑の回廊 |
73,120 15,823 2,318 3,192 11,654 36 11 6,332 |
5 安定的な木材資源の供給に取り組みます
| 再生可能な森林資源を活用し公益的機能の発揮に配慮しつつ、低コストで安定的な木材の生産・供給に取り組んでいます。 また、地球温暖化防止対策としての森林吸収源を確保し、健全な森林を育成するための間伐、植栽、林業専用道の整備などに積極的に取り組んでいます。 |
 |
 |
| 【プロセッサーによる造材作業】 | 【間伐後（列状間伐）】 |
6 利根沼田森林管理署の沿革
| 年 | 内容 |
| 明治22年（1889年） | 東京大林区署沼田派出所が開設される |
| 明治24年（1891年） | 沼田派出所が沼田及び追貝小林区署となる |
| 明治43年（1910年） | 追貝小林区署が廃止され、沼田小林区署に合併される |
| 大正13年（1924年） | 沼田小林区署が沼田営林署に改称される |
| 昭和4年（1929年） | 沼田営林署が分割され、営林署が新設される |
| 昭和7年（1932年） | 後閑営林署が分割され、水上営林署が新設される |
| 昭和22年（1947年） | 前橋営林局設置に伴い、同局所轄となる |
| 昭和31年（1956年） | 後閑営林署が、月夜野営林署に改称される |
| 昭和54年（1979年） | 月夜野営林署が廃止され、沼田営林署に統合される |
| 平成11年（1999年） | 水上営林署が廃止され、水上森林管理センターとなり、沼田営林署が、利根沼田森林管理署に改称される |
| 平成16年（2004年） | 水上森林管理センターが廃止され、利根沼田森林管理署に統合される |
| 平成25年（2013年） | 特別会計から一般会計に移行される |
お問合せ先
利根沼田森林管理署ダイヤルイン：0278-24-5535
