大井川地区について
大井川は、南アルプスの3,000m級の山々に源を発し、静岡県のほぼ中央部を縦貫して駿河湾に注ぐ幹川流路延長168km、流域面積1,280kmの大河川です。
歴史的には、昭和30年代以降に電源開発事業や林道網の整備が進められるまでは、交通の発達の遅れによって開発から取り残されていたものの、それ以降の整備によって、急速に開発が進められた地域となっています。
このような急速な流域の開発に伴って、当該地域に対する環境保全にも地域の関心が高まったことから、林野庁東京営林局(平成16年3月31日をもって廃止)は、昭和41年に当該流域に散在する荒廃地を復旧し、安全で安心できる豊かなくらしの実現をめざして民有林直轄治山事業を着手することとなりました。
有史以来、大井川流域は、洪水等の多発地帯であり、さまざまな災害対策の推進によって、洪水そのものの災害は減少してきていますが、大井川上流部の水源のかん養や公共施設の機能維持、林地及び流域の保全等を確保する治山事業は、環境に対する社会の要請が高まる中で益々重要となっており、当該地域における治山事業の一層の進捗が求められています。
大井川源流部間ノ岳(左)と農鳥岳(右) 大井川源流部一帯は、間ノ岳、塩見岳、赤石岳等の名峰が鎮座し、国立公園や県立自然公園等に指定されるなど、豊かな自然を維持している一方、断層が複雑に交錯している地質条件のため侵食が著しく進行し、極めて厳しい荒廃状況を呈しています