ヒルに注意してください
1.ヤマビルの生態
和名はニホンヤマビルで、ミミズやゴカイと同じ仲間です。
ヤマビルは、1~5cmくらいの大きさで、ゴムのような伸縮自在の体をしています。
体色は、本体が濃い茶色をしており、背面には黒色の縦線が3本あります。
体の端部に1つずつ吸盤を持ち、この吸盤を使い、しゃくとり虫のように移動します。
前吸盤の中央に口があり、口の中には細かい歯が並んでいます。
血液だけを栄養源とし、近くを通る野生動物(ニホンジカやイノシシなど)や人間に付着して吸血します。
満腹になるまで吸血すると自然に落下します。その後長時間かけて血液を消化し、6か月以上の絶食に耐えられます。
一般的には4~11月の間に活動し、特に気温が20度以上、湿度70%以上の湿った蒸し暑い時には地表に多く現れます。
冬季の12~3月の間は地表から姿を消し、土中、石の下などで越冬します。
2.ヤマビルによる吸血被害
ヤマビルの生息地の国有林内で活動をしていると、知らないうちに吸血されていることが多く、血液により衣類や靴下などが赤く染まります。
地面から足に上がって靴下やズボンの中に侵入することが多いため、吸血被害は足が最も多くなります。また少しの隙間でも侵入することが可能で、手、首、頭部、腹、背中においても吸血されることがあります。
吸血の際、痛みを感じさせないモルヒネのような物質と血液を固まらせないヒルジンという物質を出すため、吸血されていることに気が付かないことが多く、また血が止まりにくくなります。
その他個人差はありますが、吸血跡がかゆい、赤く腫れるなどの症状があります。このような症状は1週間から1か月で治ります。
これまでにヤマビルに吸血されて感染症にかかった事例は報告されていませんが、傷口から細菌類が入ることによる二次感染につながる可能性もあるため、注意が必要です。
3.ヤマビルに吸血されたら
- ヤマビルを取り除く
食塩や忌避剤、虫除けスプレーなどをヤマビルにかけるとはがれます。
それらを持っていない場合は、手で前吸盤をゆっくりはがしてください。 - 取り除いたヤマビルを駆除する
吸血したヤマビルは産卵が可能となり増えてしまうため、その場で駆除します。 - 傷口を洗浄する
指でつまんでヤマビルの唾液成分(ヒルジンなど)を絞り出し、できれば消毒用エタノールや水で洗浄します。 - 絆創膏を貼って、血が流れるのを抑える
抗ヒスタミン剤軟膏(虫刺され・かゆみ止め)を塗っておくと傷の治りが早くなります。
4.ヤマビル予防対策
シカやイノシシなどの野生動物の増加等によって、近年、ヤマビルの生息範囲が広がっていると言われています。
乾燥や高温に弱いとされていますが、国有林内の湿気の多いなどではヤマビルによる吸血に注意が必要です。
- 服装上の注意点
長袖、長ズボン、帽子、手袋を着用し、靴下は長いもの、網目の細かいものを履く。
上着の袖はズボンに入れ、ズボンの裾は靴下の中に入れる。
忌避剤または消毒用エタノールを靴や靴下、ズボンの裾、手袋に塗布するとヤマビルがはいあがらくなる。
首や肩周りに、忌避剤をつけた手ぬぐいやハンカチを巻く。
- 国有林内での注意点
歩行中、30分から1時間に1度は足元などを見て、吸血されていないか確認する。
背中や頭部などは、複数でお互いに確認しあう。
休憩時間などに腰を下ろす時は、周囲にヤマビルがいないかどうか、足踏み等で確認する。
地面に置いてあるもの(道具やカバンなど)を取り上げる時は、ヤマビルが付着していないか確認する。
お問合せ先
静岡森林管理署
ダイヤルイン:054-254-3401