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ピジョン株式会社 受賞者レポート

森林×脱炭素チャレンジ2022  
優秀賞

王冠 ピジョン株式会社 王冠
「育児と育樹、心はひとつ」 次世代を担う赤ちゃんにつなぐ森づくり
 赤ちゃん誕生記念の植樹

 同社は、育児用品の製造・販売等を行う企業として、赤ちゃんを産み育てる感動と喜びを多くの方々と共有するとともに、子どもたちの未来へ残す森づくりを通じ、次世代を担う赤ちゃんのために自然が永続的に守られていくための環境づくりに貢献していきたいという想いから、1986年に「ピジョン赤ちゃん誕生記念育樹キャンペーン」を開始しました。
 この取組は、赤ちゃん誕生時に、本キャンペーンに応募すると、応募者全員に木製の「森の住人票」が届きます。希望者の中から赤ちゃんとその家族を招待し、茨城県内の”ピジョン美和の森”で植樹式を行います。植樹後は地元の美和木材協同組合に森林整備を委託し、応募した全ての赤ちゃんの森として、植樹後数年間は毎年下刈りを行い、その後も手入れを続けています。
 これまでに約20万人以上の赤ちゃんが参加しており赤ちゃんを育てるように大切に森が育まれています。

生まれてきた妹のために植樹式で苗木を植えたお兄ちゃん

生まれてきた妹のために
植樹式で苗木を植えたお兄ちゃん

美和木材協同組合の皆様(植樹式にて)

美和木材協同組合の皆様(植樹式にて)

     多様な生き物を育む豊かな森へ

     キャンペーンの開始当時、茨城県常陸大宮市(旧 美和村)の国有林で”法人の森林”の契約を締結し、スギやヒノキの植樹の取組をスタートしました。2007年からは同市内に社有林を取得し、”ピジョン美和の森”として植樹活動を継続しています。当該森林は、取得時は針葉樹の単層林でしたが、木材としての利用期を迎えていたため、伐採し建築用材等に利用するとともに、伐採跡地に広葉樹の苗木を植樹してきました。
     広葉樹の植樹により針広混交林化に取り組んだ森林では、腐葉土が形成されることにより多様な植生が生まれました。また、多様性のある森を実現するため、ピジョン美和の森内にビオトープを整備しました。この取組を始めてから、森の中でカエル、ドジョウ、カゲロウ、ホタルなど様々な生き物の姿が見られるようになりました。また、森づくりが進み、生態系が豊かになるにつれ、キセキレイやモズなどの野鳥が観察できるようになるなど、森づくり活動が生物多様生保全につながっています。
     さらに、ピジョン美和の森の長期的な整備を計画するため、専門家とともに森林の調査を繰り返し実施しています。

     人と森をつなぐ

     植樹式への参加以外にも、これまでのキャンペーンに参加した家族が、子どもの成長の節目に、植樹した樹木の成長をみるためにピジョン美和の森へ訪れます。森の中には休憩所「すくすくハウス」があり、赤ちゃんの名前が記された植樹者名簿や親から子どもに向けたメッセージ集を設置しています。訪れた家族が当時を振り返ることができ、長年にわたりピジョン美和の森と家族をつないでいます。
     このような取組を通じて、都市部住民が森を訪れることにより、自然環境にふれあい、その大切さ・森林整備の意義を普及することにつながっています。

    すくすくハウスの植樹者名簿とメッセージ集 すくすくハウスの植樹者名簿とメッセージ集2

    すくすくハウスの植樹者名簿とメッセージ集

     審査委員の講評

     赤ちゃんの誕生と植樹を結びつけることにより、森林の大切さを未来を担う子どもたちへ効果的に訴求しています。
     また、植樹を通じた多様な森林づくりにより、生物多様性の保全を実践し、その具体の効果が表れていることを評価しました。

    皆川 芳嗣(株式会社農林中金総合研究所 理事長)

    お問合せ先

    林野庁林政部企画課

    ダイヤルイン:03-3502-8036