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住友林業株式会社 受賞者レポート

森林×脱炭素チャレンジ2022  
優秀賞

王冠 住友林業株式会社 王冠
ゾーニングによる森林経営を実践 全国の再造林推進に貢献
 全国に広がる社有林の経営管理

 同社グループの原点は”銅山備林”経営から始まります。今から300年以上前に住友家が別子銅山(愛媛県新居浜市)を開坑。銅の製錬に欠かせない薪炭用の木材などを山から調達してきました。
 開発が進むにつれ、銅製錬時の煙害や木材の伐採によって周辺の森林が荒廃する危機を迎えました。このとき「国土報恩」の精神に基づき「大造林計画」とよばれる大規模な植林を実施。山々は現在に続く豊かな森林を取り戻しました。
 現在は北海道、本州、四国、九州の4カ所に日本の国土の約800分の1に当たる約4万8千haの社有林を所有しています。「保続林業」の基本理念に基づき、広大な社有林を適正に管理しています。

住友林業の社有林

住友林業の社有林

 ”保続林業”の実践

 「保続林業」の基本理念は、現在の社有林経営に引き継がれています。森林の有する公益的機能を保ちながら、森林を持続的に活用すべく、SGEC森林認証を取得するとともに、社有林を木材生産を重視する「経済林」と環境保全を重視する「保護林(環境林)」 にゾーニングし、経営管理を行っています。
 「経済林」においては、独自の「水辺林管理マニュアル」に基づき、水際から斜距離でおおむね15mの範囲を水辺林管理区域として保護することや、隣り合う林分を皆伐する際には、先に伐採した林分の植栽木の活着が確認できた後に残りの林分の伐採を行うことなどを定め、森林の公益的機能の発揮にできるだけ支障が生じないよう配慮した森林整備を実践しています。
 「保護林(環境林)」 においては、水源かん養や土砂流失防止などの機能維持を図るため、適正な間伐等による森林整備を進めています。
 また、 社有林の分布する地域ごとに、「住友林業レッドデータブック」を整備し、社員や作業者に配布して常備してもらい、施業前には希少種の有無を確認するといった取組によって、社有林における生物多様性の保全に努めています。

 社有林で生み出した技術の普及

 経済林における伐採跡地の公益的機能を維持し、将来の木材資源の確保や吸収源として機能を発揮させるためにも、早期に人工林を再生させることが重要です。一方、そのためには、再造林コストや造林作業の負担の低減などが大きな課題に。このため、成長が早く、造林コストの低減に資するエリートツリーなどのコンテナ苗の生産、労働負荷の大きい苗木運搬を行うドローンの開発などに取り組んでいます。特にコンテナ苗については、社有林だけでなく、全国の森林へ良質な苗木を安定的に供給し、国内の再造林の推進に貢献しています。
 同社グループは、国内外で森林経営から木材建材の調達・製造、木造建築、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業を展開しており、木の伐採・加工、利用、再利用、植林という「住友林業のウッドサイクル」を回すことで、独自の「ウッドソリューション」を提供し、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいます。

林業用運搬ドローン「森飛-morito-」の開発・販売

林業用運搬ドローン「森飛-morito-」の開発・販売

コンテナ苗(カラマツ)

コンテナ苗(カラマツ)

     審査委員の講評

     大企業として地域の取組から技術開発まで多面的にリードされている中で、生物多様性の保全について体系的に取り組まれています。生物多様性は今世界的に注目度が高まっており、グローバルイニシアチブを発揮されることを期待します。

    榎堀 都(一般社団法人CDP Worldwide-Japan アソシエイト・ディレクター)

    お問合せ先

    林野庁林政部企画課

    ダイヤルイン:03-3502-8036