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一般社団法人TOKYO WOOD普及協会 受賞者レポート

森林×脱炭素チャレンジ2022  
優秀賞

王冠 一般社団法人TOKYO WOOD普及協会 王冠
東京の家と森を育てる 多摩産材ブランド”TOKYO WOOD”
 東京の木を使って東京の森を守る

 大都会のイメージがある東京都ですが、実は、面積の4割が森林であり、その約7割は多摩地区西部に集中しています。
 多摩地域の森林の約6割は、建築材料等に用いることを目的として戦後に植えられたスギやヒノキの人工林であり、適切な時期に間伐などの手入れを行う必要があります。しかしながら、国内の木材需要の低迷や安価な輸入材との競合等により、国産材の丸太価格が長期的に下落。林業は停滞し、整備の行き届いていない人工林がみられるようになりました。
 このような中、「メイドイントーキョーの家づくり」を合言葉に、東京の森林の木材生産サイクルを構築することを通じ、健全な森林を維持していくことを目的として、多摩地域の林業事業者、製材所、プレカット事業者、工務店からなるチーム「TOKYO WOOD普及協会」が立ち上がりました。

 メイドイントーキョーの家づくり

 輸入材や他地域産の木材との競合が激しい、大消費地・東京において、どうすれば消費者に多摩産材を使った家づくりを選択してもらえるか。選んだ答えは、多摩産材の良さが伝わる木の使い方にありました。
 自然素材である木材は一本一本に個性があり、含水率も異なることから、木をふんだんに活用した家づくりには、木材を供給する側と使う側の相互理解や、安定した品質の木材を供給することが重要です。同協会では、試行錯誤の末、会員が供給する木材について厳しい品質基準を設定し、これをクリアした天然乾燥の無垢材を活用した木のぬくもりや香りが感じられる家づくりを実現。この品質基準をクリアした木材を”TOKYO WOOD”と名付け、多摩産材のブランド化に取り組んでます。

 東京の家と森を育てる

 木を伐って、使って、その利益を山に還元して、また森林を整備する。このサイクルが働かないと、今後健全な森林は維持できません。
 同社のメンバーである田中林業(株)は、森林経営計画の認定を受けて、間伐や択伐を繰り返すことにより針広混交林化を意識した森づくりに取り組んでいます。そうして伐り出された丸太は、同じくメンバーである製材所を経て工務店へ安定的に供給され、TOKYO WOODを活用した住宅が年間平均60棟建てられています。

森林整備(利用間伐)の様子

森林整備(利用間伐)の様子

 また、TOKYO WOODを活用した住宅の建築予定の家族を、実際に森や原木市場、製材所に案内するバスツアーを開催。参加者からは、「東京の森のこと」「東京の木でも家が建てられること」などへの感心や驚きとともに、好評を博しています。
 林業家から工務店までの関係者が、手を取り合い、東京の木の家と持続的な森づくりが進められています。

TOKYO WOODの家 建築の様子

TOKYO WOODの家 建築の様子

TOKYO WOODの家建築予定者対象のバスツアー

TOKYO WOODの家建築予定者対象のバスツアー

     審査委員の講評

     チーム全体で協力し、国産無垢材を住宅建設に利用していることや、木材利用の良さや環境への貢献度を伝え、川上側への利益の分配も図ることにより、持続可能な森林経営や脱炭素につながっています。 また、景観や生態系に配慮した森づくりなど、取組全体を高く評価しました。

    原 薫(株式会社柳沢林業 代表取締役)

    お問合せ先

    林野庁林政部企画課

    ダイヤルイン:03-3502-8036