建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン
1.ガイドラインの趣旨
⽊材は、森林が吸収した炭素を貯蔵しており、国内における⽊材の主な⽤途である建築物等において利⽤を進めることは 、「都市等における第2の森林づくり」として、2050年カーボンニュートラルの実現など地球温暖化防止への貢献が期待されています。
2019年の森林吸収量実績のうち木材利用による効果は約380万t-CO2であり、木材利用の促進は更なる森林吸収量の増加に繋がることが期待されます。
⽊材利⽤の⼀層の促進を通じた地球温暖化防止を図るため、建築物に利⽤した⽊材に係る炭素貯蔵量を国民や企業にとって分かり易く表⽰する方法を示したガイドラインを定めました。
なお、林野庁では委託事業により、平成27年度に「企業による森林づくり・木材利用の二酸化炭素吸収・固定量の「見える化」ガイドライン」を作成し、建築物による炭素貯蔵量の算出方法等について示していますが、この内容も踏まえて今回のガイドラインを作成しています。
2.ガイドラインの内容
建築物の所有者、建築物を建築する事業者等が、HWP※の考え方を踏まえて、建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量を自らの発意及び責任において表示する場合における標準的な計算方法と表示方法を示すものです。
※ Harvested Wood Products(伐採⽊材製品)の略で、京都議定書第⼆約束期間からパリ協定下において、国内の森林から伐採・搬出された⽊材を製材、パネルなどとして建築物等に利⽤した場合にその炭素蓄積量の変化量を温室効果ガス吸収量等として 計上できることとされている。
[炭素貯蔵量(CO2換算量)の計算式]
Cs=W×D×Cf×44/12
Cs:建築物に利用した木材(製材のほか、集成材や合板、木質ボード等の木質資材を含む。)に係る炭素貯蔵量
(t-CO2)
W:建築物に利用した木材の量(m3)(気乾状態の材積の値とする。)
D:木材の密度(t/m3)(気乾状態の材積に対する全乾状態の質量の比とする。)
Cf:木材の炭素含有率(木材の全乾状態の質量における炭素含有率とする。)
[表示例]
3.炭素貯蔵量計算シート
ガイドラインに基づき、木材使用量等の必要な情報を入力すると自動的に炭素貯蔵量が算出される計算シートを添付しておりますので、ご活用ください。
また、本計算シートでは、 炭素貯蔵量をさらに伝わりやすい形で表示するため、一定の仮定のもと、スギ人工林の面積・本数当たりの二酸化炭素蓄積量や、一世帯・一人当たりの二酸化炭素排出量と比較した値を自動的に計算することも可能です。この表示については、民間建築物等における木材利用促進に向けた協議会(ウッド・チェンジ協議会) の下に設けられた小グループ「木材利用環境整備グループ」において検討・策定されました。
[表示方法](※[X]:炭素貯蔵量に応じて計算される値)
(1) スギ人工林の面積・本数当たりの二酸化炭素蓄積量と比較する場合
- スギ人工林約[X]ha分の二酸化炭素蓄積量に相当
- 東京ドーム約[X]個分の面積のスギ人工林の二酸化炭素蓄積量に相当
- テニスコート(ダブルス)約[X]面分のスギ人工林の二酸化炭素蓄積量に相当
- スギ約[X]本分の二酸化炭素蓄積量に相当
(2) 一世帯・一人当たりの二酸化炭素排出量と比較する場合
- 一世帯の約[X]年分の二酸化炭素排出量に相当
- 一人当たりの[X]年分の二酸化炭素排出量に相当
- 約[X]世帯の1年分の二酸化炭素排出量に相当
4.ガイドラインの活用事例
民間事業者や行政が建設した木造建築物や地方公共団体における認証など、ガイドラインの活用が広がっております。
5.ガイドラインのQ&A
ガイドラインについて、これまで寄せられたご質問を踏まえて、Q&Aを添付していますので、ご不明点があればご参照いただければ幸いです。
添付資料
建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン(PDF : 432KB)
炭素貯蔵量計算シート(EXCEL : 65KB)
ガイドラインの事例(PDF : 267KB)
お問合せ先
林野庁林政部木材産業課
担当者:住宅資材班
ダイヤルイン:03-3502-8062