「令和6年度中央国有林材供給調整検討委員会」概要
更新日:令和6年12月25日
森林管理局の管轄区域を越えた緊急的な供給調整の必要性について、林業・木材産業関係者等から御知見や御意見をいただく検討会を開催。
1.日時及び場所
令和6年11月6日(水曜日)15時00分~17時00分
農林水産省 共用第5会議室
2.議題
1.木材需給動向について
2.国有林材の供給状況等について
3.令和6年度各森林管理局の供給調整検討委員会の検討結果について
3.議事概要
【委員会の検討結果】
森林管理局の管轄区域を越えた、緊急的な供給調整の必要性はない。他方、新設住宅着工数が振るわない状況において、不安定な輸入材の入荷・在庫状況をはじめ様々な供給リスクが顕在化しており、木材需要の先行き不透明感が増す中で、各地域において需給状況を注視しつつ、必要な対応を柔軟に措置することが求められる。
加えて、国有林材が国産材供給のベースラインとして一定のシェアを確保するよう努める中で、国有林材全体として立木販売による措置を中心として、必要に応じて地域の需給状況により即した対応を行うことを発信していくことが重要である。
【主な意見】
(地域の需給状況)
〇北海道森林管理局管内では、製材工場は原木在庫を確保しており、原木、製品とも大きな価格変動なく推移している。今後もこの傾向は続くと思われるが、先行きは不透明となっている。
〇東北森林管理局管内では、住宅着工戸数が低迷していることもあり、合板をはじめとした製品の荷動きが低迷しており、素材生産の流れも悪く、原木市場においても受け入れ数量が減少し、価格も低下している状況にある。
〇関東森林管理局管内では、夏頃までは虫害等の影響もあり、原木価格が低く素材生産を控えていた中で、新材に切り替わり、原木の引き合いが強まっており、10月末から原木価格が大幅に上がっている。その一方で製品価格が上がっていない状況にある。
〇中部森林管理局管内では、年初から並材の価格に変化はなく、今後も相場上昇や需要増の兆しは見られない中で、スギ丸太の市場への入荷量が落ち込んでおり、今後もこの状況が続くものと見込まれる。
〇近畿中国森林管理局管内では、住宅着工数の低迷が続いていることから、合板需要も増える見込みがない状況にあるが、原木価格に関しては、チップ材や輸出需要が下支えとなり、今後も横ばいで推移するものと見込まれる。
〇四国森林管理局管内では、概ね素材生産は順調に推移しているが、原木市場等の入荷量は例年に比べやや少なく、原木は不足感から引き合いがあり、価格もスギは横ばい、ヒノキは若干値上がり傾向にある。製品は価格は横ばいだが、荷動きは住宅着工数の減少に応じて低調であり、先行き不透明な状況にある。
〇九州森林管理局管内では、原木に不足感があり、価格は強気で推移しており、この状況はしばらく続くものと見込まれる。
(全般的な意見)
〇原木市場の入荷量が例年よりも少なく推移しており、原木の不足感から樹材種によっては価格が値上がり傾向で推移している地域もみられる。
〇バイオマス・製紙原料関係に関しては、需要旺盛で引き合いが強く、地域によっては新規のバイオマス発電所の稼働もあり、より競争が激しくなることが予想される。
〇新設住宅着工の減少よりも合板の減産ペースが大きくなっているが、それにもかかわらず、合板価格の下落が継続している。
〇合板は住宅着工の減少に伴って需要が縮小する中、大手メーカーがシェア確保のための値下げをすれば他はそれに追随するしかない。
〇戸建て住宅の価格上昇が見られる中で、木材製品の価格が下がっている状況について原因を究明する必要を感じる。
〇木材需要の先行きが不透明な一方で、都市部の店舗のリニューアル等での非住宅内装や、イベント関連、土木用材などの需要は堅調。
〇物流問題について、中小運送事業者ではドライバーの交代要員の確保が難しいため、長距離輸送が難しくなっている。
〇輸入材については円安の影響で高値の製品の在庫が増加傾向にあったが、今後しばらくは減少傾向での推移になると見込まれる。
〇丸太価格を維持していくためには、非住宅需要の獲得もさることながら、住宅建築における国産材のシェアをあげていくことや製品の輸出に向けた取組も重要になると思われる。
〇木造建築に占める比率を上げている2×4工法においてはほぼ無垢材が使われていることもあり、その需要を国産材に取り込むことが重要であり、2×4部材を製材する上で課題となっている採材長級等について検討する必要がある。
〇原木輸出に関しては、中国国内の需要に迫力がなく、また船運賃の上昇等により採算が苦しくなっているが、国内の大型工場で原木の受入制限が続いている状況があることから、引き続き行われる見通しである。
〇素材生産の現場は奥地化が進み、生産コストが増している。また、民有林においては森林所有者の不在村化が進む中で境界の明確化や集約化が進んでおらず、素材生産を増加させることが難しくなっている。
〇木材需要が停滞する地域において、今年度、国有林で実施した立木販売における搬出期間の延長は需要調整に有効かつ適切であった。一方で、需要に対して民有林からの供給を増やすことが難しい地域においては、国有林には安定的な木材供給を求める。
お問合せ先
国有林野部業務課
担当者:供給企画班
代表:03-3502-8111(内線6306)
ダイヤルイン:03-3593-1675