日本コカ・コーラ株式会社/日本製紙株式会社 受賞者レポート
森林×脱炭素チャレンジ2023
J-クレジット部門
日本コカ・コーラ株式会社 日本製紙株式会社 |
持続可能な社会に向けて |
日本コカ・コーラ株式会社と全国5社のボトリング会社などから構成されるコカ・コーラシステムでは、「世界中をうるおし、さわやかさを提供すること。前向きな変化をもたらすこと。」という事業目的にのっとり、日本が直面する重要な課題に対し、ビジネスを通じて変化をもたらしながら、未来を共創していくことに責任を持って取り組むこととしています。
また、日本製紙株式会社は、「世界の人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献します」との企業理念を掲げ、「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」というスローガンの下、森林資源を基盤として事業を展開しています。
2013年から両社の協働により、コカ・コーラの工場で使用する水資源の保全を目的として、日本製紙株式会社の社有林における水源林整備、植樹、自然・環境イベント開催などの活動を実施しています。こうした連携をさらに強化するため、2021年に「持続可能な社会の構築に関する協働基本合意書」を締結し、両社の知見を活かしながら、CO2排出量削減などの取組を進めています。
両社合同の植樹活動(日本製紙株式会社社有林)
クレジットの活用に関するスキーム図
カーボン・オフセットと従業員の環境意識啓発 |
日本コカ・コーラ株式会社では、事業活動により排出される温室効果ガスの削減目標を掲げており、再生可能エネルギーの導入や輸送の効率化などに取り組むほか、従業員の環境意識啓発の一環として全国コカ・コーラシステムを対象とした海岸清掃活動を実施しています。それらに加え、日本製紙株式会社との協働の一環として、同社が社有林整備により創出した森林由来J-クレジット1,000tを購入しました。2021年度には、この清掃活動に加え、購入したクレジットにより自動販売機約2,000台分の年間CO2排出量をオフセットしました。J-クレジットの購入を通じ、森林保全が水源涵養だけでなく、CO2吸収にも貢献することを従業員に広く伝えることで、従業員の環境意識の更なる向上につながっています。
カーボン・オフセットが支える”森林資源の循環” |
日本製紙株式会社は、森林資源を活用する企業として、生物多様性の保全や水源涵養機能の向上など公益的機能を十分に発揮できる、持続可能な社有林経営に取り組んでいます。社有林で創出したクレジットを日本コカ・コーラ株式会社が購入し、その販売収益を原資として更なる森林整備を進めるという循環が生み出されており、成熟期に達した社有林を伐採し更新を図る際には、成長が早いため、短期間での多くのCO2吸収が期待できるエリートツリーを積極的に植栽するなど、次世代林業に着手しています。
日本コカ・コーラ株式会社では、クレジットの活用を通じて事業の脱炭素化を進めるとともに、豊かな森林づくりを支援することで持続可能な地域社会の実現に貢献しています。
エリートツリーの植林地(日本製紙株式会社社有林)
審査員の講評 |
J-クレジットを通じて、森林の水源涵養機能の向上と飲料自動販売機の排出量オフセットが結びつけられています。森林資源を活用する企業と水を使う企業の協働がうまくいき、森林整備が進んだ点を高く評価しました。
龍原 哲(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授)
お問合せ先
林野庁林政部企画課
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