ゆめみヶ丘岸和田まちづくり協議会 受賞者レポート
森林×脱炭素チャレンジ2023
森林づくり部門
ゆめみヶ丘岸和田まちづくり協議会 |
”都市・農・自然が融合する”まちづくり |
大阪府岸和田市内で都市と農、自然が融合するまちづくりをめざす地区「ゆめみヶ丘岸和田」において、地形条件や交通アクセス、営農状況を踏まえながら、「都市整備エリア」「農整備エリア」「自然活用エリア」と大きく3つに区分し、ゆめみヶ丘岸和田まちづくり協議会が各エリアの目指す姿に向けたプロジェクトを展開しています。中でも、まちの特徴である自然活用エリアでは、森林整備を積極的に行い、自然を活用することをきっかけに、まちに関わる人々や企業がつながり、持続可能なまちを育てることを目指しています。
荒廃竹林からの里山再生 |
自然活用エリアの約8割は放置され荒廃した竹林でしたが、竹林として活用するエリアと広葉樹林を中心とした里山に戻すエリアに分け、整備を進めてきました。里山に戻すエリアについては、生物多様性の保全に向け、大阪府では準絶滅危惧種に指定されているフクロウの棲める森を再生することを目標に掲げ、2013年度から毎年、クヌギやコナラなどの植樹と下刈り等の保育作業を実施しています。
2021年度、 2022年度には、府内企業等の社員や地域の子ども達とともに植樹を行いました。植樹をするにあたり、繁茂していた竹を伐採・除去し、チップ化してバーク堆肥と混ぜて土壌改良に活用し、植栽木が育ちやすい環境を整えました。成長した広葉樹林にはフクロウの巣箱を設置し、2年間で5羽の雛が孵り、巣立っており、かつての里山の復元が着実に進んでいます。
広葉樹の苗木の植栽風景
復元した広葉樹の森に棲むフクロウ
竹の魅力の発信で観光資源に |
ゆめみヶ丘岸和田誕生のキックオフイベントとして実施された「ゆめみヶ丘岸和田まちびらきフェスタ」の準備にあたり、産官学民が連携し、約一か月間かけて大規模な竹ステージを制作しました。制作にあたった滋賀県立大学の学生のべ300人が地域内の古民家に宿泊し、集団自炊生活を送りながら地域の方々と交流を深める等、地域振興にも繋がっています。また、この取組に続くイベントである「第1回竹まつり」においては、竹を集成材に加工して組んだ「竹の茶室」の制作、篠笛を作るワークショップの実施など、伐採した竹を余すことなく全て使い切って、地域資源である竹の魅力をPRしました。
このように、資源を有効に活用しつつ、持続的な森林づくりに取り組むことで、脱炭素社会の実現に貢献するとともに、地域内外からも取組に参加できる仕掛けを作ることで、関係人口の増加を促進し、地域の活性化を図っています。
ゆめみヶ丘岸和田まちびらきフェスタの竹ステージ
審査員の講評 |
竹林の整備と広葉樹林化、無駄のない竹の利活用に特徴があり、森林の循環利用、地域の振興、環境や文化への貢献いずれの点からも高く評価しました。各地の荒廃した竹林問題の解決に波及することを期待しています。
龍原 哲(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授)
お問合せ先
林野庁林政部企画課
ダイヤルイン:03-3502-8036