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林野庁

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美深町(北海道) 受賞者レポート

森林×脱炭素チャレンジ2023
森林づくり部門

優秀賞

王冠 美深町(北海道) 王冠
未来の子ども達が豊かな森と暮らすために
 次代に引き継いでいける森林づくりへ

 北海道美深町は、稚内市と旭川市の中間に位置し、面積の85%を森林が占める緑豊かな地域です。大正から昭和時代にかけては木材工業が盛んで、全国でも有数の木材の町として発展してきました。
 同町では、施策として林業従事者の健康診断や高性能林業機械の購入等の費用に対する助成や、町有林におけるSGEC森林認証の取得などにより、地域の林業の活性化に取り組んでいます。また、持続的な森林資源の活用を図るとともに、豊かな森林を子ども達の未来に残していくために、町有林の造林、保育事業を進めています。

美深町の森林

美深町の森林

 町産材を地域のために

 2021年に建物全体で使用した木材のうちSGEC森林認証材を72%以上使用した「美深町立仁宇布小中学校」が完成しました。大型木造建物では、認証材を高い割合で使用した全国初となる取組です。使用した認証材は町有林や道有林から産出されたものであり、子ども達は地元美深の森で育った木のぬくもりに包まれながら学ぶことができます。また、校舎の建築材料となる木材の伐採現場や地元製材工場において生徒対象の見学会を開催し、森林資源の循環利用の大切さの普及にも取り組みました。
 さらに、町内外から多くの人が訪れるびふか温泉において、これまで使用してきた重油・灯油ボイラーから木質バイオマスボイラーへ転換を図ることでCO2の排出を削減し、クリーンなまちづくりを目指しています。このため、同町・町内林業関係団体で構成された協議会・北海道の3者で協定を締結し、町産材の安定供給を図っています。原料調達、チップ製造・保管、販売、熱利用まで全て町内で行い、資金を町内で循環させることで産業活性化にも繋がっています。

美深町立仁宇布小中学校の校内風景

美深町立仁宇布小中学校の校内風景

校舎の建築材料となる木材の伐採現場の見学

校舎の建築材料となる木材の伐採現場の見学

     未来を担う子ども達との森林づくり

     40年以上前より同町主催の植樹祭を毎年開催し、地域の子ども達や住民に対し、森林の持続的な利用の重要性を伝える活動を行っています。
    株式会社SUBARUとは、同社が1995年に町内に冬季雪上試験場を設立して以来、同町と友好な関係にあり、2018年には森林保全活動等に関する協定を締結しました。同町が行う植樹祭には、同社社員が参加し、子ども達とともに行う植樹や苗木代の寄付のほか、同社社有林からの間伐材を使用したコースターやカスタネット、自動車製造工程で使用されなかった糸から作成された軍手の配布等、資源を有効活用する取組により子ども達へSDGsへの意識付けを図っています。
     子ども達が森林や木材に触れる機会の提供を通して、毎年町内の高校から町内の林業会社に就職されるなど、同町の未来の森林づくりへと繋がっています。

    美深町主催の植樹祭

    美深町主催の植樹祭

    審査員の講評

    地方の町ながら国際的にも通用する認証を取得し、地元の森林の魅力、また、木材利用に加えてバイオマス等の資源としての価値も活かした取組を、町民や企業に波及させながら主導していることに感銘を受けました。

    榎堀都(一般社団法人CDP Worldwide-Japanアソシエイト・ディレクター)

    お問合せ先

    林野庁林政部企画課

    ダイヤルイン:03-3502-8036