国土防災技術株式会社 受賞者レポート
森林×脱炭素チャレンジ2023
森林づくり部門
国土防災技術株式会社 |
国土を守る技術の追求 |
国土防災技術株式会社では、「土と水と緑に関する技術を追求し、住み良い国土の建設と国民の福祉に貢献する永遠の会社を目指す」という企業理念のもと、自然災害対策に係る建設コンサルタントとして長年培ってきた専門性を活かした森林の整備・保全活動を全国5か所で取り組んでいます。
このうち、山形県南陽市の「草木の森(やまがた絆の森プロジェクト)」においては、山形県・公益財団法人やまがた森林と緑の推進機構と3者協定を結び、2004年から19年間にわたり継続的に森づくり活動を実施しています。当該地をフィールドとして選定した理由は、一部に植物が成長しにくい土壌を含んだ荒廃地があり、同社が開発した森林を早期に復元させる新技術の試験フィールドとしての活用及び森林整備などを通じた社会貢献活動の両立が図れる場として期待ができたためです。
草木の森での活動(集合写真)
自然災害対応の経験を森づくりに |
試験フィールドでは、同社が開発した間伐材を腐植化させた土壌改良剤を土に混ぜ、土壌改良試験区ごとに植栽したカラマツや落葉広葉樹の生育状況を6年間にわたり調査・比較した結果、早期の森林造成に寄与する土壌の団粒化や通常斜面の下部に流れやすい土壌中のミネラルや肥料分を効率よく根が吸収することができる効果的な配合等の確認を行いました。また、土壌改良に加え、植栽樹種の選定も重要であることから、成長の早いヤシャブシやヤマハンノキといった先駆樹種も植栽し、現地との適合性や改良土壌との相性等の確認も行っています。
さらに、同社が開発した唐辛子由来の忌避剤により、植栽木をシカやノウサギの食害から守ることで、再造林の手間とコストの軽減に寄与する技術についても検証しています。
このように、長年培ってきた技術と経験を地域の森づくりや被災した森林の再生に役立てることで、安全・安心に暮らせる国土づくりに貢献しています。
森林が結ぶ地域とのきずな |
草木の森における植樹や保育作業後に、同社職員と地元の方々(南陽市)との交流を目的として、同社の活動内容の報告会や講習会に参加していただくとともに、山形県の郷土料理である芋煮を一緒に作るなど、地域・文化とのふれあいの機会を創出しています。また、地元の小学生を対象とした草木の森内にある文化施設や県指定天然記念物といった名所を巡る地元公民館主催の「宮内ふるさと探検」の開催に協力し、社員による土砂災害の紹介や地すべりの解説を通して、防災の意識啓発を図るとともに、地すべり面の粘土から作ったパステルを用いて、恐竜や動物等の描画体験をしてもらっています。
森林づくりを通じて、地域との絆を結ぶことで、防災に係る技術の提供だけでなく、地域の防災意識向上の両面にわたり、地域の方々の安全・安心に貢献しています。
地域住民との交流(宮内ふるさと探検)
土のパステルで描く恐竜デッサン
審査員の講評 |
建設コンサルタントとしての専門性を生かした被災地における森林の早期再生や、子ども達に対する防災教育の実施など、自然災害が頻発する近年において、国民の安全・安心に繋がる多様な取組が更に展開されていくことを期待します。
皆川 芳嗣(株式会社農林中金総合研究所 理事長)
お問合せ先
林野庁林政部企画課
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